電子契約書以外の紙による契約書の場合、契約書を交わす相手との間で内容を確認したのち、記名や押印した原本を簡易書留などで郵送する必要があります。この時、契約書を郵送する際のマナーや、送る方法によっては法律上問題がある可能性があることをご存じでしょうか。
ここでは、紙の契約書を送る場合のマナーや法律に関する問題についてご紹介しています。郵送の必要がない電子契約書のメリットについても触れていますので、これから契約書を作成しようとする際の検討材料としてお役立てください。
目次
契約書は簡易書留で郵送がマナー
契約書の送付方法については、簡易書留で郵送するのがマナーとなっています。契約書を送る大まかな事例と、簡易書留による郵送がマナーとなっている理由について見てみましょう。
契約書は法人・個人に関わらず、あらゆる取引で交わされる
新規の業者や業務委託先と新たに取引を始める際、最初に契約書を交わすのが一般的です。法人の場合も個人、フリーランスの場合も同様で、ビジネスに限らず「カードの申請」や「通信販売」といった取引でも、個人と企業との間で契約書が交わされています。普段それと意識せずに記入している書類が、契約書にあたっている場合もあるでしょう。
契約書を簡易書留で送る理由
契約書の中には、契約内容や規定、トラブルが起きた場合の解決方法など、取引を始めるにあたって相互に確認するべき点が記されています。中には期日や期限を設けている場合もあり、双方にとって「契約書が相手に確実に届いているか」はとても重要なポイントとなるのです。
また、契約書はほとんどの場合内容を確認後に住所や氏名を記入して押印し、返送する形をとります。個人情報が記載された書類となるため、紛失や悪用されるリスクはできるだけ避けなければなりません。
こうした理由から、契約書は発着の記録が残る「簡易書留」または「配達証明郵便」などを利用して送るのがビジネス上のマナーとなっています。
郵便以外だと違法になる可能性が
「契約書は記録が残る形で送るのがマナー」とわかったところで「記録が残る形なら、他の宅配便を使用してもよいのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。実は、契約書を郵便局以外の宅配会社を利用して送ると、法律違反となる場合があるのです。
「信書」扱いの契約書は郵便局の利用が法律で定められている
契約書や請求書、証明書といった書類は「信書」と呼ばれ、通常の手紙や書籍、カタログなどと分けて取り扱うことが定められています。また、郵便法第4条では、信書の送付について日本郵便が独占しておこなう旨も定められているのです。
総務省でも信書は郵送するよう呼びかけている
一部の宅配業者では信書を送れるサービスを提供しているところもありますが、総務省でも信書は郵便で送るようホームページで呼びかけており、他の発送手段を利用した場合、上記の法律に違反する可能性があると注意喚起しています。
※総務省|信書の送達についてのお願い
https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/topics091210.html
こうした理由もあり、契約書の送付には郵便局の簡易書留や配達証明を利用するのがマナーとなっています。契約書を郵送する際、折り曲げないようにしようとするとA4サイズが入る角2型の封筒を使用したり、クリアファイルに入れて送付状もつけるなど、何かと手間がかかります。レターパックを使用する方法もありますが、いずれにしても普通郵便よりも手間とコストがかかり、一度に多くの契約書を発送する必要がある際に苦労した経験を持つ方もいるのではないでしょうか。
電子契約書なら郵送の必要がない
紙による契約書は郵便局の利用や簡易書留を選ぶこと、送付状やクリアファイルの準備など、多くの事務作業とコストがかかってしまいます。電子契約書なら、これらの労力を要することなく、契約書を交わすことができるのです。
電子契約書のメリット
先述したように電子契約書を利用することの大きなメリットは「郵送の必要がない」という点です。データ上で契約を交わせば、契約書を印刷した紙を簡易書留で郵送する場合のコストや梱包のコスト、手間が省けるだけでなく、契約書に貼付するべき印紙代も節約できます。
電子契約書では配達先での水濡れや破れといったアクシデントの心配もなく、保管スペースを確保する必要もなくなります。契約内容の改ざんやコピーといった悪用のリスクも減らせるため、実際に電子契約書を導入しているサービスも増えてきているのです。
電子契約書のデメリット
コスト削減と業務効率化、省スペースに悪用防止などメリットの多い電子契約書ですが、デメリットもゼロではありません。電子契約書を利用するにあたり、取引先へも専用の契約サービスへの加入をお願いする必要がある場合や、「電子帳簿保存法(税務調査に関わる帳簿の保存方法)」「電子証明書(電子署名を利用する場合)」など、電子契約書を発行、保存するための下地を整えておく必要がある点などが挙げられます。
電子契約書のサービスがスタートした当初は、これらのデメリットがネックとなるケースもありましたが、現在では利用しやすい環境が整い、多くの企業が電子契約書を活用しています。契約書発送について手間とコストを削減したいのなら、電子契約書サービスについて一度検討してみてはいかがでしょうか。