「契約違反の際、違約金は請求できるのか?」「違約金のルールについて契約書に書いておきたい」とお考えの方へ。
契約書には、違約金に取り決めも書いておくことができます。しかし違約金には民法上のルールがあるため、法律を知った上で条項を決めることをおすすめします。
違約金の基本的な考え方や相場、契約書に記載する方法について解説いたします。
目次
違約金とは?上限や相場について
契約に違反した際に請求できる違約金ですが、その金額についてはあまり知られていません。まずは違約金の基本的な考え方と相場について知っておきましょう。
違約金とは
契約はどんな形であっても、法的な拘束力が発生します。そして双方で取り決めた契約内容に違反したり不法行為が発覚したりした場合は、違約金を請求できます。
損害賠償とは損害を受けた側が、損害を補填するための物やお金を請求するものです。つまり違約金とは、相手から与えられた損害を補填するための金銭という考え方になります。
違約金に上限や相場はあるのか?
契約内容によって契約金が異なるように、違約金にも一般的な決まりは存在しません。しかし契約を取り交わす業種によっては、相場というものが存在します。
たとえば違約金が発生しやすいケースとして、不動産契約があります。不動産売買では、契約を解除したい場合、売買価格の1割を違約金とすることが相場となっています。また、宅建法によって2割が上限とされているので、それを超えて請求はできません。
違約金の取り決めを行う前に、職種や契約内容による違約金の相場・上限は調査しておく必要があるでしょう。
違約金はどんな時に発生するのか?
では次に、違約金に関わる一般的なルールと、違約金が発生するケースを見ていきましょう。
違約金には民法の取り決めがある
民法上違約金を請求できるのは、以下のケースです。
・債務不履行責任(民法415条)
・不法行為責任(民法709条)
まず債務不履行とは、契約によって取り交わした約束事が守られなかったことをいいます。債務が果たせなかった場合に債務不履行責任が生じ、違約金の請求にいたります。
もう1つの不法行為責任は、法律や権利上保護されるべき利益が損なわれたり、権利侵害があったりした場合を指します。
契約書に記載する違約金の条項は、上記の民法を知った上で取り決めるようにしましょう。
違約金が発生するケース
契約における違約金は、様々なケースで発生します。たとえば前述した不動産であれば、不動産売買のほかに、2年契約で入居した賃貸を途中で解約するケースなどもあります。
個人の契約でいうと、大手携帯キャリアにも途中解約による違約金が存在しました。しかし2019年頃から国の働きかけがあり、今では違約金の上限は1000円となっています。
企業間での違約金が発生するケースはもっと複雑です。よくあるケースとしては、フランチャイズ契約が挙げられます。
フランチャイズには契約期間が存在し、期間内の解約には違約金が発生します。そのほか、加盟店が、フランチャイズ解約後に類似の事業を展開していたり商標を侵害したりしていることが発覚すれば、それも違約金の対象となります。
契約書に違約金のルールを記載する方法
契約で大きなトラブルに発展しやすい違約金ですから、契約書を取り交わすときに事前ルールを決めておきたいものです。契約書に違約金について記載する際のルールについてご紹介しましょう。
違約金の発生条項を記載する
違約金の発生には民法が影響しますが、契約自由の原則があるため、双方が同意しているのなら違約金の発生条項は自由に記載して構いません。民法上では問題ない条項でも違約金を定めるなど、契約内容は自由に決められます。
しかし、繰り返しになりますが、契約内容については「双方が」納得した上で記載する必要があります。
どんな文言を書けばいいのか
契約書に違約金の取り決めを記載する場合、約款の中に含める方法が一般的です。契約書の次のページから約款を作り、違約金の取り決めを記載します。
違約金の文言は基本的に自由ですが、「受注者は第○項の取り決めによりこの契約を解除した場合、違約金○○円を発注者が指定する期間内に、発注者に支払う義務がある」などの文章がよいでしょう。
さらに違約金が期間内に支払われなかった場合の取り決めも明記します。一般的には、遅延した分の利息として「契約金額の○%」または「違約金として請求した額の○%」を請求する、などと計算方法も記すことが無難です。
契約書に記載しなくても請求できる
違約金は民法で守られていますから、実は契約書に違約金の条項を明記していなくても請求することはできます。
しかし契約書に違約金の条項を明記することで双方の認識を合わせておけば、トラブルが発生しにくくなるでしょう。そのため、双方の間に独特な違約金の取り決めがなかった場合でも、ごく一般的な内容を契約書に書いておくケースは珍しくありません。
電子契約書も違約金について記載できる
契約で悩みがちな違約金についてご紹介しました。違約金の請求はトラブルに発展しやすく、契約書による事前の取り決めでなるべく予防したいものです。
今回ご紹介したように民法上違約金を請求することはできますが、対策として契約に書いておくのもいいでしょう。
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