契約書には様々な項目がありますが、そのひとつに頭書きというものがあります。「頭書きは必要なのか?」「何を記載すればよいのか?」という人に向けて、頭書きの基本的な役割や契約書の構成について紹介します。
目次
契約書における頭書きとは
頭書きに記載する内容
契約書における頭書きとは、相手と取り交わした契約のポイントをまとめたものです。一般的には契約の金額や期間といった内容を記載することが多く、箇条書きでも文章でも構いません。
頭書きのメリットとは
頭書きを記載する主なメリットは、契約内容がわかりやすくなるため、管理しやすいということです。
契約書の記載内容はどれも重要ですが、文章にするとどうしても長くなってしまいます。そこで頭書きに契約期間や金額を書いておけば、後から見たときにわかりやすくなるのです。
頭書きと前文の違い
頭書きも前文も、文言通り契約の最初に書くものです。しかし、契約書に慣れていないと、違いがはっきりわからないという人もいるでしょう。
契約における頭書きと前文は異なるものです。前文とは契約の当事者を明確にしたり、取引の概要を明らかにしたりするために記載します。
一般的な契約書の前文としては、「A株式会社(以下、「甲」という。)とB株式会社(以下、「乙」という。)は、秘密保持契約の保守に関し、以下の通り保持契約(以下「本契約」)を締結する。」などがあります。
つまり、前文には契約書における宣言のような意味合いがあり、日本の契約書では不可欠な部分です。
一方、頭書きは契約書のポイントをまとめたものです。前述したように契約金額や期間といった契約書の概要を端的に記載します。
契約書の頭書きは変更できる
契約書は、双方の合意さえあれば変更が可能です。つまり、契約内容のポイントを記載した頭書きも、契約内容の変更に応じて変えることができます。
契約内容に変更が発生した場合は、まず双方が納得した内容かどうかを確認します。双方の合意が取れた後は、「覚書」として契約書の変更内容を記載した書類を作成し、双方が1部ずつ保管しておきます。
覚書には厳格な決まりや構成はありません。一般的には「第1条(契約期間の変更) 契約期間「202×年○月○日までの契約を、202△年□月□日までに改める」などと記載します。この覚書を作成するとき、「契約期間の変更」などと頭書きをしておくのもひとつの方法でしょう。
また、紙媒体の契約書で覚書に重要事項が記載されている場合は、新たに収入印紙を添付する必要があります。重要事項とは国税庁が定めた内容ですので、詳しくは国税庁HPを参照してください。
参照:国税庁HP 別表第2 重要な事項の一覧表
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/betsu02/01.htm
契約書の基本的な構成について
Wordなどで一から契約書を作成する場合は、フォーマットから自分で考える必要があります。日本国内の契約書と英文契約書の基本的な構成について紹介します。
契約書の構成に決まりはない
契約書は双方の約束事を記す大事な書類ですが、実は作成する際の明確なルールや決まりは多くありません。
個人や法人・契約内容によって記載すべき項目は変わるので、後からトラブルが起こらないように、事前に取り決めた内容はなるべく詳細に契約書に記載しておきましょう。
一般的な契約書の構成を紹介するので、作成の際ぜひ参考にしてください。
一般的な構成とは
国内の契約書で一般的な構成は、以下の通りです。
1.表題:「○○の保守について」など、何についての契約書かわかるタイトルを記載
2.頭書き:契約金額や期間など、契約のポイントを記載
3.前文:当事者や契約の経緯について記載
4.本文:取り交わした契約内容を記載
5.後文:契約書全体の書類枚数や契約書を保有する者について明記
6.日付:双方が契約書に署名捺印した日を記載
7.署名:署名と捺印
頭書きは英文契約書でよく使われる
前述の通り、頭書きとは契約書のポイントを書き出したもので、不可欠な部分ではありません。しかし、国内の契約書でも頭書きを記載するケースが増えています。
実は契約書の頭書きは、英文契約書でよく使われています。英文の基本構成は以下の通りです。
1.表題(Title)
2.前文(頭書きであるPremisesと、説明のWhereasで作られる)
3.契約の定義・一般条項(Definition・General Provisions)
4.結語(Closing)
5.当事者や立会人の署名
6.付属書類(Exhibits)
2のように、英文契約書では前文に頭書きを含めることが一般的です。英文契約書で一般的であった頭書きが、いつしか国内の契約書でも使われるようになったのかもしれません。
契約書の構成に厳格な決まりはありませんから、国内で作成する契約書に頭書きを含めるかどうかは自由に決めて構いません。
「契約内容が複雑で枚数が多く、契約金額や期間をわかりやすくしておきたい」「管理しやすくしたい」という希望があれば、国内の契約書でも冒頭に頭書きを記載しておくとよいでしょう。
電子契約書なら構成に悩む必要がない
契約書の頭書きについて紹介しました。頭書きの記載には厳格なルールはなく、契約者の任意で決めることができます。
しかし、契約書の構成は会社や契約相手、業務内容で異なるため悩んでしまうものです。「契約書をスムーズに作成・締結したい」と思ったら、クラウドで締結できる電子契約サービスがおすすめです。契約業務にお悩みなら、ぜひ一度検討してみてください。