日々ビジネスの現場では無数の契約が交わされており、その種類も様々です。そのため、契約事務を任された場合、前例がなければどのような契約内容で締結するべきか、迷うこともあるのではないでしょうか。
まずは、契約書の種類を理解しておく必要があります。そこで、この記事では各種契約書の特徴を紹介した上で、近年増えつつあるIT業界での契約書ではどのような形態が一般的かも解説していきます。
目次
ビジネス契約書の種類
ビジネスの現場以外にも、世の中には様々な契約形態があり、それにあわせて契約書の種類も多種多様です。そこで、ここでは
1)売買や委託
2)賃貸借や賃貸
3)その他
と3種類のケースに分けて解説していきます。
売買や委託に関する契約書
まず、売買でよく知られるのが不動産に関する契約書です。ビジネスに限らずとも、マイホームを購入する際に「不動産売買契約書」などを目にしたことがあるのではないでしょうか。
委託に関するものでは、「業務委託契約書」や「顧問契約書」がよく知られています。業務委託契約とは、自社で対応できない業務を外部に任せる契約のことです。フリーランスという働き方が浸透しつつある現代で、重要な契約書類のひとつです。
賃貸借や金銭に関する契約書
賃貸借に関するものでは、「建物賃貸借契約書」など不動産に関するものが多いです。これにはオフィスビルを借りるための契約が該当するので、総務や経理で働いていた方には馴染みのあるものではないでしょうか。
続いて、金銭に関する契約書で有名なのが「金銭消費貸借契約証書」です。銀行から証書貸付で融資を受ける際には欠かせない契約書なので、経理担当者の方はよく目にしているでしょう。
その他の契約書
そのほかにも、情報漏洩リスクを回避するため、第三者に情報を開示しないことを義務付けた「秘密保持契約書」も存在します。また、人事関係では労働条件などを定めた「雇用契約書」が代表例です。
IT業界の契約形態
数十年前にはそれほどメジャーではありませんでしたが、今や多くの業種が何かしらIT業界とのつながりがあります。そこで、自身がIT業界に勤めていてもいなくても、契約書について一定の知識を有している必要があります。
IT業界で多い契約形態が、「請負契約」「準委任契約」「労働者派遣契約」です。ここでは、特に混同されやすい「請負契約」と「準委任契約」について紹介していきます。
請負契約とは?
請負契約は、民法第632条から633条に規定されています。ポイントとなるのが、請負契約が製作物の完成を目的としていることです。
それ故にIT業界においては、システム不具合が起きた際に裁判で争われることがあります。品質が悪くて解除されるおそれもありますが、基本的には検収や本番稼働まで済んでいれば、完成と見なされることが多いです。
準委任契約とは?
民法第656条によると、準委任契約は法律行為ではなく、事務行為であると規定されています。請負契約とは異なり、仕事の完成までを目的としていない点がポイントです。
そのため、満足のいかない成果であっても、報酬請求される可能性もあるということなのです。仕事を依頼する立場としては、可能な限り準委任契約ではなく請負契約を交わすようにしましょう。
紙が必要な契約書がある
契約書の種類を考える上で、気になるのが印紙です。印紙税は高いものであれば、数万円〜数十万円までも課される場合もあります。もし合法的に印紙額を抑えることができるのであれば、その方法をとるに越したことはありません。
課税される契約書の種類
印紙税法で印紙が課せられる文書の種類は明文化されており、国税庁HPにもその分類が掲載されています。代表的なものとしては、下記などが印紙税を課される文書として挙げられます。
・不動産
・鉱業権
・無体財産権
・船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
・消費貸借に関する契約書
・請負に関する契約書
・継続的取引の基本となる契約書
金額によって税額も異なる
印紙税額は、契約書に記載された金額によっても異なります。例えば、銀行から借り入れる際の消費貸借契約書は1万円未満であれば非課税ですみますが、1千万円を超え5千万円以下であれば2万円の印紙を貼る必要があります。
参照:国税庁ホームーページ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf
印紙税がかかる契約書の種類で悩まない方法
ここまで、解説してきたように代表的なものだけ挙げてもビジネス契約書には多くの種類があります。そして、それぞれに特徴があるので、自社にとって不利益のないようにしっかりと契約書の種類を判断しなくてはなりません。
また、どの場合に印紙税が課されるかを把握することも重要で、金額を貼り間違えるなどの事務ミスにも気をつける必要があります。そこで検討したいのが電子契約という方法です。
電子書面に対しては印紙税が課されないことになっているので、事務負担やコスト軽減にもつながります。業務効率改善のためにも、一度検討してみてはいかがでしょうか。