契約書は、契約内容とその契約締結の証が書かれた、とても大切な書類です。万が一契約においてトラブルが発生した際には、契約書に基づいて対処することになります。そのため、契約書が偽造や改ざんをされたとしたら、大変なこととなってしまいます。
そこで今回は、契約書を偽造・改ざんされた場合の対処法、契約書を偽造・改ざんされないためにはどうするべきかを解説します。
目次
契約書を偽造されたら立証は困難?
契約書を偽造され裁判となった場合、偽造されたことを立証するためにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは契約書を偽造された場合、立証はできるのか、もし無断で印鑑を使用された場合、契約書は有効なのかについて解説します。
契約書の偽造は決定的な証拠が無いと立証困難
実は裁判において、偽造証拠が提出されることはしばしばあり、その見極めは困難とされています。偽造を見抜くには、弁護士が相手の証拠書類を徹底的に調べる必要があります。それでも、証拠が見つからない場合もあるのです。
そのため、例え契約書を偽造・改ざんされてしまったとしても、相手が偽造・改ざんを認めず、さらに決定的な証拠が無ければ、立証は非常に困難なのです。
無断で印鑑を使用された契約書でも無効にはならない
契約を締結する際、承諾した証拠として契約書に印鑑を押します。もしも自分以外の誰かが無断で印鑑を使用して契約を締結したとしたら、契約はどうなるのでしょうか?
答えは、例え無断で印鑑を使われて締結された契約でも、印鑑が押してあり、さらに反証が無ければ契約は無効になりません。ちなみに反証とは、反論のための証拠です。つまり、印鑑を無断で使われたという証拠が無ければ、契約は有効となってしまうのです。
契約書を偽造され詐欺に使われたら即警察へ
前述のとおり、契約書の偽造・改ざんは証拠が無ければ有効となってしまう上、その証拠を見つけるのは困難です。そして証拠は時間が経てば経つほど、見つけにくくなります。
そのため、万が一契約書を偽造され、詐欺などに使われていたことが発覚した場合、自分で何とかしようとはせず、すぐに警察へ相談しましょう。
契約書の偽造を防ぐ方法とは?
契約書は一旦偽造や改ざんをされてしまうと、証拠集めも立証もなかなか難しいので、始めから偽造・改ざんされないように対処することが大切です。
ここでは、契約書を偽造されないための方法をお伝えします。
改ざん防止機能付きの契約書用紙を使う
契約書の複製による偽造の防止には、改ざん防止機能付きの用紙を使うと効果的です。
改ざん防止の用紙には、コピー機で複写するとコピーの文字が浮き上がるように特殊加工がされているものや、用紙に製造ロットが印刷されているものなどがあります。重要な契約書は、予め改ざん防止機能付きの用紙で作成することをお勧めします。
印鑑の保管を厳重にする
印鑑の無断使用による契約書の偽造を防ぐにはどうすれば良いかというと、ずばり印鑑の保管を厳重にすることに尽きます。少々面倒でも、鍵付きの箱にしまうなどして、簡単に他人が触れられないようにしましょう。
また、印鑑の印影をコピーしにくい物にすることも、偽造防止に効果的です。手掘りの印鑑であれば、印影をコピーしにくくなるので、実印の印影をコピーして悪用されるリスクを減らすことができます。
電子契約書なら偽造を防ぎやすい!
前段では、契約書を偽造されないための方法をご紹介しました。しかし、改ざん防止機能付きの用紙を使うのも、印鑑の保管を厳重にする、あるいは印影をコピーされにくい物にすることも、用紙をわざわざ購入したり、印鑑をいちいちしまったりと手間がかかりますよね。
そこでおすすめなのが電子契約書の利用です。電子契約書であれば、利用に大きな手間をかけることなく、契約書の偽造を防ぐことができます。ここでは電子契約書が偽造を防ぎやすい理由について詳しく説明します。
タイムスタンプで改ざんを防ぎやすくなる
電子契約書がなぜ偽造されにくいのか、それはタイムスタンプがあるからです。タイムスタンプとは、電子契約書にいつ、誰が、何を書き加えた、あるいは消したかを記録しているシステムです。
このタイムスタンプがあれば、例え契約書が改ざんされても、いつ誰が改ざんしたのか知ることができるのです。
取引先からの信用も向上する
このようにタイムスタンプで改ざんされにくい電子契約書を利用することで、取引先からの信頼が向上するでしょう。
また、紙の契約書は作成し、契約を締結するまで郵送のやり取りなどでコストがかかりがちです。電子契約書であれば、作成も相手への送付も全てネット上で完結するので、コストカットにも繋がります。
契約書の偽造を防ぐには電子契約書の利用がおすすめ
契約書は一旦偽造・改ざんされてしまうと、裁判で立証するのは困難です。そのため、偽造・改ざんされる前に防ぐ手立てを打つべきです。
偽造・改ざんを防止するためには、改ざん防止機能付きの用紙を使用したり、印鑑の保管を厳重にしたりする方法がありますが、おすすめなのは電子契約書の利用です。
電子契約書であれば、コストをかけずに偽造防止ができる上、取引先からの信頼も向上するので、ぜひ利用を検討してみてください。