近年、インターネット上での仕事が増えるなど労働環境が多様化している影響で、自宅で働くフリーランスの人も増加しているようです。フリーランスとして仕事を受ける場合に、本名を隠したままでなんとか仕事ができないかと考えている人も多いのではないでしょうか。
仕事を受け、契約書にサインをしなければいけない場合にもペンネームのままで記入しても良いのかどうかを確認します。
目次
ペンネームだけで契約書作成は可能?
ペンネームだけで契約書作成は可能なのかを確認しましょう。
ペンネームでの契約書は法律上は有効
結論から言うと、ペンネームや通称や芸名だけでも契約書の作成は法律上可能です。
法律上は、本名ではなかったとしても一個人を指すことがわかるペンネームでサインをされていれば、その契約書は有効になります。一個人を指すことがわかる通称という部分ですが、その通称で「あの人だ」とわかるものでなければいけません。世間の人たちみんなに知られていなくても大丈夫ですが、そのペンネームで「ああ、あの人だ」とわかる人が誰もいないようでは問題です。
ペンネーム可能な契約書、不可能な契約書
契約書にペンネームで書いても法律上は良いといいましたが、ペンネームを使っても良い契約書とペンネームを使えない契約書があります。どの契約についてはいいのかどの契約ならだめなのか、確認しましょう。
まずはペンネームで契約できる契約書についてです。
取引先と取り交わす領収書や明細書などの契約書は、ペンネームでも本名でも法律上の問題はありません。ただし、契約者名と口座名義人が違うことで、取引先が支払いをするときに混乱する可能性が高くなります。請求書などは「(ペンネーム)こと(本名)」などと記入しておいたほうがよいです。
続いて、本名を書く必要のある契約書についてです。
自宅を購入したときの住宅ローンの契約書などは、戸籍上の本名や銀行に登録した名前を確認する必要がある契約なので、ペンネームだけでは契約ができません。この場合にどうしてもペンネームを使いたいときには「(ペンネーム)こと(本名)」、とサインすると良いでしょう。
契約書に印鑑証明書を添付する場合にも本名を記入する必要があります。
契約相手はペンネームでの契約書を認めるか
法律上問題がないことは確認できました。では、実際に仕事をする上でもペンネームだけで活動できるのでしょうか。
本名での署名を求めるクライアントが多い
法律上は、本名を書かないでペンネームだけで契約した契約書にも効力があるということを説明しました。ここで気になってくるのが、「法律上は」という点です。
実際に契約をする場合には、ペンネームだけで契約しようとすると「本名と住所を教えてください」というクライアントが多いでしょう。クライアントにしてみれば、どのような人なのかをひた隠しにする人よりも、しっかりと本人確認ができる人の方が安心して仕事を任せることができます。
また、報酬を支払う際や、源泉徴収が必要な場合には、その手続きにも本名が必要になってきます。そのため、スムーズに進められるように本名での署名をよく求められます。
本名が知られても個人情報保護法がある
本名を隠したいフリーランスの人が気になっているのは「個人情報を知られたくない」「広めたくない」ということでしょう。本名を教えたとしても個人情報保護法というものがあるため、クライアント側はその情報を守らないと法律違反になります。
そのため、クライアント側から本名が世間に広まることはほぼないといえるでしょう。
クラウドソーシングを利用する方法も
それでも本名を知られたくないという方は、クラウドソーシングを利用するという方法もあります。
クラウドソーシングを経由して依頼される場合には、クライアントに本名を知られずにペンネームでの取引が可能です。
ただし、源泉徴収をクライアントにしてもらうようにしているとクライアント側が本名を知る必要が出てきます。源泉徴収なしの案件をするようにしましょう。
屋号がペンネームなら契約書の問題はない?
直接契約する場合に、契約書にペンネームを書こうとすると「本名を記入してください」と言われる可能性があることを説明しました。では、直接契約の場合にペンネームのままで契約できる方法はあるのでしょうか。
ペンネームを屋号にすれば本名開示必要なし
本名を隠したいフリーランスの人におすすめなのが、ペンネームを屋号に登録してしまうことです。
屋号は、会社名のようなイメージのものなので、クライアント側にはそれを伝えれば良いでしょう。
開業届を出すときに屋号をペンネームにする
屋号をペンネームにするやり方は、開業届を提出するときに屋号の欄にペンネームを記入すればいいのです。こうすることで銀行口座もペンネームで開設できるようになります。
銀行口座をペンネームで開設する方法は、通常の口座開設で必要になる「印鑑」と「身分証明書」と、その他に「開業届」を持って銀行窓口に行き、口座を開設したいと伝えます。開業届の屋号がペンネームになっていれば、それで手続きは可能です。
これで安心してペンネームだけでフリーランスの活動ができるでしょう。少し手間がかかってもいいから本名を隠したままで何とかできないか、と考えている人におすすめします。
ペンネームで仕事をしたいときには工夫しよう!
フリーランスの人が本名を知られないまま、ペンネームで仕事をしたい場合に考えられることはいろいろあります。
そもそも法律上はペンネームで契約しても有効であるため、本名を求めないクライアントならそのまま契約できます。本名を求められないようにするには、クラウドソーシングを通して源泉徴収のない仕事を受けたり、開業届を提出するときに屋号をペンネームにしておくなどの対策がとれますので参考にしてください。