ページがたくさんある契約書を作成した場合、契印を押さなくてはいけないのでしょうか?
基本的に複数枚なのであれば必要だという通例があります。どこに押すのかについてや、契印を押さなかった場合には契約書の効力は認められるのか、また袋とじ・製本がされている時はどのように押すのかなどのポイントを紹介します。
契約書に段差ができて印鑑が押しにくい場合の対処法についても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
契約書の契印、その必要性は?
枚数が多い場合には契印を押すことがよくあります。まず契印とは何なのか、押さなかった場合にも合意していると認められるのかなどについて確認しましょう。
契約書の契印に法律上の義務規定はない
複数枚になった契約書の見開き部分に押すものが契印です。
ただし、実はこれに法律上の義務規定はないのです。必ず押さなければならないものではなく、押し忘れた場合でもその契約書の効力がなくなることはないため安心してください。
とはいえ、一般的に契印を押すことが通例となっているので、やはり押しておいた方が良いでしょう。
契約書に押す契印と割印の違い
不正防止になるものは他に割印があります。漢字2文字で契印と似ているので間違って覚えている人も少なくありません。
それぞれどんなものなのか確認しましょう。
契印はページの連続性を証明
契印は2ページ以上になった場合に押します。1つの契約書においてどこかに別の用紙を入れられていない、また一部分だけ抜かれていないと後から確認するためにあります。
これを押すと、ページとページがすべて繋がっていることが分かります。だれかが契約書に何か細工をしようとした場合、次のページとまたがって押されているこの印鑑がずれて不正に気付くことができます。
契約したときの用紙がそのまま残っていることを第三者にも確認してもらえるので不正防止になります。
なお、ページの間であれば位置は上下どこでも構いません。
割印は2部以上の契約書を作った場合
契約書を2部以上作成した場合に、それぞれの契約書の上部が重なるようにしてその間に押すことを割印といいます。2部あってもそれらが同一の内容だとわかるようになるのです。もしくは文章が関連していることを知らしめるためにも使います。
契印を契約書に押す際の方法
ここでは、実際に契印を契約書に押す場合のコツなどを紹介します。
ページの間に押すので、印鑑をきれいに押そうと気をつけていてもついついずれてしまったりするものです。ちゃんと押せなかった場合には押し直しになったり、最悪の場合、もう一度作り直すことになるかもしれません。以下に示すコツをぜひ参考にしてみてください。
ホチキスで見開きにした契約書の契印
枚数が多く複数枚になった場合には、ページが変わる全てのページの間に印鑑を押します。この際、契約に関わっている人全員が押す必要があるので大変な作業です。契約書が数枚しかない場合はこの方法でもいいかもしれません。しかし、膨大な枚数になった場合には、次で紹介する袋とじや製本といった方法を使うといいでしょう。
袋とじで製本された契約書の契印
これらの処理が施された契約書の場合、契印が必要なのは袋とじの紙と契約書の用紙が重なっている部分だけになります。袋とじの紙と契約書の用紙のどちらにも半分ずつ印鑑が残るように押せばいいのです。
製本テープを使って製本済みのときでもそれは同じです。したがってページ数の多い契約書ができあがったときにホチキスで留めただけの状態にしておくよりも、製本してしまった方が最終的には楽ができるのです。
なお、後からパンチで穴を開けてファイリングすることが予想される場合には、パンチ穴の部分に契印がかからないように注意しておきましょう。
契約書にうまく契印を押すポイント
ページとページの間に印鑑を押そうとしたとき、紙の厚みのせいで押しにくくなることもあるでしょう。そのときには、別の用紙を下に敷いて両方のページの高さを合わせるようにします。つまり、平坦ではない場所に印鑑を押そうとするから押しにくくなるのです。あらかじめ平坦になるように高さを揃えておこうという方法です。
印鑑をしっかり押すためのマットを敷いておくとさらに効果的ですね。
1つ注意してほしいことがあります。それは、契印が契約書の文字にかからないようにするということです。もし、契印を契約書の文字に押してしまうと、後の確認でそれが「訂正印」だと思われてしまう可能性があります。契約書は、万が一裁判になった場合、第三者が見てもわかりやすいようにしておく必要があるのです。
もし、文字に印鑑が重なってしまったときには、契約書自体を作り直したほうが無難でしょう。
契約書の契印位置に甲乙による上下はない
契約書の契印は、ページとページとの境にまたがって、上部と下部に押すことになります。
甲が上部、乙が下部といった決まりがあるのか悩む人もいるかもしれませんね。
契印を押す場所には、特にどちらが上でどちらが下といった決まりはありません。上でも下でも、そのときの流れに応じて押していただいて結構です。
ただし、もし業界で慣習がある場合などには、その慣習に従った方が良いでしょう。
複数枚の契約書には契印を押そう
契印には法的な義務こそありませんが、不正を防止するための大事な役割があります。契約書が複数枚になった場合には、契印を押すようにしましょう。
なお、複数枚の契約書だと当事者全員で契印を押したり袋とじの作業が必要だったりと少々手間がかかります。契約書を電子契約書にした場合には、この作業も不要にできるので、今後の業務のために電子契約システムの導入も検討してみてください。