今回は、契約書を作成する際に確認しておきたい大事なポイントについて紹介します。しっかりとポイントを押さえて、思いがけず不利になることのないようにチェックしていきましょう。
目次
契約書作成で押さえておきたいポイント
まずは契約書を作成するときにしっかりと押さえておきたいポイントについて紹介します。
権利や義務、リスクなどを考えた契約書を
思いがけず不利になってしまうこともある契約書。よくある間違いが、契約書のテンプレートやひな形をあまり考えずにそのまま利用してしまうことです。
契約書を一から作るのは大変ですし不安もあるため、こういったテンプレートやひな形を参考にしたくなりますよね。
しかし、テンプレートはよくある契約のものです。実際に交わす契約に示すべき権利、義務やリスクなどが明記されているわけではありません。
そのため、自分でそういった権利や義務などについては考えておいたうえで、書き漏れや表現の不備などを確認しつつ、テンプレートやひな形を参考にすると良いでしょう。
秘密保持条項も含めた契約書にしよう
秘密保持契約とは、取引の中で知った秘密情報をそれ以外のことに利用したり、他の人に漏らしたりすることを禁止するための契約です。この契約はNDAとも呼ばれています。
秘密保持契約でわかりにくいのは、何の情報を秘密にしなければならないかです。
何の目的で使う場合ならその情報を使っても大丈夫なのか、情報開示の範囲やその情報の管理方法について規定で決められているかなどのポイントも確認しておきましょう。
契約書の構成に関するポイント
契約書の構成に関するポイントも確認しましょう。基本的な契約書の構成は次のとおりです。
どんな契約かを示す「表題」、誰と誰とが契約するのかを示す「前文」、契約内容に権利や義務などを入れた「契約事項」、何かあった場合の「損害賠償」、「契約期間」、「契約の解除について」、「反社条項」、「権利義務の譲渡禁止」、裁判所を決めておく「合意管轄」、契約書に書かれていない事態が生起した場合の「協議条項」、「後文」、そして日付と署名を書く欄を作ります。
これらをそれぞれの契約に合わせて書くことになります。
契約書の甲と乙とを間違えない
よくある失敗としては、「契約書の甲と乙とを間違えてしまう」ことが挙げられます。しかし、それでは全く違った取り決めになってしまうので、甲と乙とを入れ違えてしまうと大変です。
これは、ずっと「甲」「乙」と記号のような呼び方で書くために、どちらがどちらか混乱することにより起こる失敗です。これを防ぐために、確認するときの分かりやすいポイントがあります。
契約書を作り終えた後、甲乙をワードの一括変換機能でそれぞれの会社の固有名詞などに置換をすることです。この方法で契約書をチェックすれば、間違いにも気づきやすいでしょう。もちろん、会社名を入れて作った後に一括変換機能で甲乙に変えても良いです。
契約書に使うフォントとポイント数
契約書に使う用紙やフォント、文字のポイント数に決まりはありません。
基本的にはA4サイズの良質な用紙を使い、MS明朝などのフォントが使われていることが多いです。文字のポイント数については、あまりに小さいと読みにくいという人もいますので、11ポイント以上にしておいたほうが良いでしょう。
民法改正による契約書の見直しポイント
ここからは、民法改正による契約書への影響について見ていきましょう。
2020年4月1日に100年ぶりに改正されることによって、様々な部分の見直しが必要になってきます。ここでは、検索回数が多く注目が集まっている売買契約書や賃貸借契約書、業務委託契約書について紹介します。
売買契約や賃貸借契約に関する契約書の見直し
まずは、売買契約や賃貸借契約に関する契約書の見直しポイントについてです。
売買契約とは、家を買ったときなどに取り交わす契約です。危険負担についての内容が変わり、購入した家が大地震で崩壊した場合に代金の支払いを拒否できるようになります。危険負担に関する条文が規定されている契約書については確認をしましょう。また、瑕疵担保責任は契約不適合責任に変わりました。今後は契約に適合しているかどうかがポイントになるため見直しをしましょう。
賃貸借契約は、賃貸マンションなど、賃料を支払うことで何かを借りる契約についてのものです。この契約についても様々な変更がありました。賃貸借の存続期間の上限が20年から50年に変更されたり、敷金や原状回復義務に関する事項が明文化されたりといった変更があったのでこちらも見直しが必要です。
業務委託契約に関する契約書の見直し
業務委託契約に関する契約書でも、売買契約で挙げた「瑕疵」が関係します。法律上はこの瑕疵という用語が使われなくなったので、それに合わせて「種類、品質または数量に関して契約内容との不適合」など他の用語に置き換えることを検討した方が良いでしょう。
業務委託したものに瑕疵があった場合、いままでは完成前なら債務不履行責任、完成後には瑕疵担保責任を請負人が負うこととなっていました。改正法では、仕事が完成していてもしていなくても債務不履行責任を負うことになります。
このように、民法改正でいろいろと変更点がありましたので、しっかりと契約書の見直しをしてください。
ポイントを押さえて契約書を作成しよう!
契約書の作成には確認しておくべき様々なポイントがあります。権利や義務、リスクなどをしっかりと考えること、甲と乙を間違えないこと、民法改正で変更になったことなどのポイントを押さえて、不利にならない契約書を作成しましょう。