契約書を取り交わす際は、写しが必要となります、しかし「契約書の写し」といっても、単に契約書をコピーすれば原本の代わりになるというわけではありません。
契約書の写しの作り方やコピーとの違い、収入印紙の必要性についてご紹介します。
目次
契約書の写しとは
取引先と契約書を交わす時、多くの企業で用意するものが「写し」です。
写しとは契約書の原本とは別に作る、全く同じ書類の事を言います。写しの他に、謄本(とうほん)と言われることもあります。
「写し」というとコピーも含まれるのですが、契約書の場合、原本をコピーした書類と写しでは内容を証明する効力が異なります。違いは後ほど詳しくご紹介しますが、紙の契約書では写しの準備が欠かせません。
契約書の写しはなぜ必要なのか
紙面で契約書の写しを作成することは、少々手間に感じるものです。しかしその写しには大事な意味があり、万が一の備えとして作っておいて損はありません。
トラブル発生時の証拠となるため
そもそも契約は、相手と約束事を取り決めることです。しかし口約束では後から「言った」「言わない」の水掛け論が起こるリスクがあるため、約束事の「証拠」として契約書を作ります。
約束事をルールに取引を続けていても、後から一方が「聞いていなかった」と言ってトラブルが起こる可能性があります。そんな時頼りになるのが契約書となります。
証拠能力がある契約書ですが、一方だけが持っていると、改ざんされるリスクがあります。そこで契約書と同じ内容の「写し」をもう一方が保管することで、公平性を保つのです。
契約書の写しの作り方
一般的に、契約書の原本はパソコンで作成します。そのため、印刷する際には原本と写し分の2部出力して、双方とも同じように準備していくことが慣習となっています。
しかし、印刷するだけでは契約書の写しとしての証拠力を持ちません。署名や捺印、印紙のない契約書の写しは、ただのコピーとなってしまうのです。
契約書の写しとコピーの違いとは
契約書を2部作成して写しを準備することが一般的といいましたが、企業の中には契約書を作成した後、原本のコピーを取って写しとしているケースもあります。
実は契約書の写しを作ることは必須ではなく、原本のコピーを写しとすることも違法ではありません。
しかし、契約書の写しとコピー(複写)はトラブル発生時「証拠を証明する力」が異なるため、この部分が大きな違いとなります。
契約書の写しは原本と同じ効力がある
契約書のコピーを保管している方は、原本を保管している側より分が悪くなってしまいます。
契約書のコピーも一定の証拠能力を持っていますが、コピーでは契約金額の「0」の数を増減させるなど改ざんができてしまいます。
一方で正式な契約書の写しは原本と同じ扱いになるため、写しと突き合わせて確認できます。原本を保管している方が改ざんした場合、契約の写しが正式な証拠として活躍するのです。
「契約書の写しを作るのは面倒だし、印紙代がかかってしまう」という理由で契約書のコピーを写しとして管理するケースも多いのですが、「原本を持っている方が改ざんできてしまう」というリスクを忘れてはいけません。
契約書と収入印紙の関係
正式に契約書の写しを作成する場合、写しにも収入印紙を貼らなくてはいけません。そもそも収入印紙とは何のために貼るのか、その役割について解説します。
収入印紙は写しにも必要なのか?
収入印紙は、契約書の写しにも貼らなくてはいけません。なぜなら契約書の写しも原本と同等として扱われるためです。ちなみに契約書のコピーは原本と同等ではないため、収入印紙を貼る必要がありません。
収入印紙には200円~60万円もの幅広い税額があり、契約書に記載されている契約金額によって変わります。契約金額の記載がない場合は、一律で200円の税額と決まっています。
参照:国税庁HP「No.7102 請負に関する契約書」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm
つまり契約書を作成する際は、原本用と写し用として収入印紙を2枚用意する必要があります。
収入印紙の役割とは
収入印紙とは国が発行しているもので、消費税のように納税の役割を持っています。金銭授受に関わる契約書の場合は課税対象となり、対象となる文書を「課税文書」といいます。
課税文書には1号~20号まで種類があります。たとえば業務委託契約なら7号、保険証券なら10号など契約内容によって異なり、印紙税額も変わってくるのです。
電子契約書なら収入印紙が不要
電子契約書を導入する大きなメリットとして、写しを作ったり収入印紙を貼ったりする必要がなくなる点があります。
契約書の写しをコピーで済ませる多くの理由として、「収入印紙代がもったいない」という理由があります。「契約書なんて滅多に使わないから、便宜上コピーで済ませても問題ないだろう」と考える企業も多いことでしょう。
しかし今回ご紹介したように、契約書のコピーは原本と同等とはみなされず、コピーを保管していた方はトラブル時にやや劣勢となってしまいます。
「契約書の写しも正式な書類を準備したい。しかし、経費もなるべく抑えたい。」という企業こそ、電子契約書の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
電子契約書には収入印紙が存在しませんし、そもそも課税文書ではありません。課税文書とは紙ベースの文書のみが対象となるので、電子データで交わした契約は対象外という見解なのです。
電子契約書でスマートな契約をしよう
「契約書作成の手間を抑えたい」「契約書を適切に管理しながら、なるべく経費を抑えたい」という企業は、ぜひ電子契約書を導入してみましょう。
紙と同等の取り交わしができるだけではなく、収入印紙や割印の手間も省くことができます。電子契約書なら、クラウド上での一括管理が可能なGreat Signをぜひご検討ください。