いつも契約書は紙で作っていますか?紙で作った契約書は、袋とじなどの製本作業が必要なうえに、保管するためにファイルを購入して種類ごとに分けてファイルに入れて、後日契約書が必要になったら今度は1枚の紙を見つけるのに四苦八苦して…、といろいろと作業があり大変ですよね。契約書をPDFにして、これらの問題から開放される方法を紹介します。
目次
契約書の保管問題。PDF化してメールが便利
契約後にPDFにするのは注意が必要
まずは注意事項を確認しましょう。契約後に紙で作った契約書をPDFにするのには、気をつけなければいけない点があります。紙で作った契約書をPDFにする場合、契約書の原本は紙なので、これを捨ててしまうことについて注意が必要です。
一定の国税関係書類について要件を満たした場合に、従来の紙での保存に替えてデータによる保存を認めている電子帳簿保存法があるため、この要件を満たさないといけません。心配な方は原本を保管しつつ、後から探すときに探しやすいようPDFでも残すという方法も良いでしょう。
書類をPDFにして契約する方法
それでは、契約する時点でPDFにしておく方法を紹介します。とは言っても、作った契約書をPDFにして、それを相手側の担当専用のメールアドレスにメールで添付するだけです。その時にメールの本文でこの契約について双方合意していることが分かるようにしておけば大丈夫です。
PDF化した契約書は印鑑・サインも電子署名で
その際の注意事項についても紹介します。契約書をPDFで送った場合も、相手側で実際に紙を印刷して印鑑・サイン後にまたPDFで送って貰う…というように印鑑があった方が安心するでしょう。しかし、紙を印刷して押印・サインをした場合、相手側が持っている紙の契約書が原本になってしまいます。PDF化されたものはあくまでコピーということになるので気をつけてください。
しかし、印鑑がないと偽造・改ざん、なりすましなどが容易になってしまいます。PDFにした契約書には、印鑑・サインも電子署名で対応するようにしましょう。
契約書PDF化をすると収入印紙不要
PDFにすると収入印紙代が節約できる理由
紙の契約書の場合には収入印紙が必要な契約なのに、PDFにすると必要なくなるというのは少し不思議に思われるかもしれません。
その理由は、印紙税というものは「文書にかかる税金である」からです。PDFなどで作られた「電子的契約書」については課税対象の文書作成には該当しないため、電子的契約書に対しては課税されないとされています。
また、国会での質疑応答に対する答弁でもそのように言われているため安心してください。
電子契約で実際にコスト削減した例
基本契約書を締結するごとに4,000円の収入印紙代がかかっていたA社では、電子契約にすることでこの収入印紙代が不要になりました。月に100~150件ほど契約しているため、月々ではなんと40~60万円もの削減になったわけです。
手間が増えるわけでもないのに、導入さえしてしまえばこれだけの削減ができたというのは驚きですね。
また、契約書を作成する場合には、通常は契約当事者の人数分の原本を作成しなければなりません。契約人数が複数なら、その人数分の原本に貼る収入印紙が必要です。電子契約にすることで、その分のコストも削減につながります。
契約書PDF化によるその他のメリット
遠隔地にいる契約相手ともすぐに契約を交わせる
契約書のPDF化によるメリットは、いくつかあります。保管の手軽さや後から契約書を探すときの手間が減る、という今までに見てきたメリットの他に、「契約相手が遠く離れた場所にいてもすぐに契約を交わせる」というものがあります。今までは契約書を印刷し、製本作業をして、相手に郵送するための作業をして、数日後相手に届いて印鑑を押してもらい、また郵送して…と、とにかく時間と手間がかかっていました。
電子契約書にすることで、この時間と手間がなくなり、スピーディーな対応ができるようになるでしょう。また、締め切りまで時間が無い、急ぎの内容についても、外部に委託しやすくなることもメリットといえそうです。
契約書を送りあう封筒や切手代も節約
さらに、契約書の郵送がなくなることで、封筒や切手代の節約にもつながります。印刷や袋とじなどの製本作業もしなくてよいため、その分の費用も削減できます。また、労力も削減できるので、その分他の作業に時間を使うことができます。
電子契約書にして労力や費用を削減しよう!
このように、契約書をPDFに変えるだけでさまざまなメリットがありました。
もう一度確認してみましょう。
・印刷、製本作業などの手間がなくなること
・保管場所がいらなくなること
・後から契約書が必要になった時に探しやすいこと
・収入印紙代が必要ないこと
・郵送の時間が要らずスピーディーに契約を締結できること
・締め切りまでの期間が少ない内容についても外部に委託しやすくなること
・封筒や切手代の節約もできること
これだけメリットの多いPDF化ですが、偽造・改ざん・なりすましなどの対策をきちんとしたいなら、さらに電子契約書にすることをおすすめします。電子契約書を導入することでスキャニングの手間もなくなるうえ、万が一裁判になってしまったときの証拠力も高まります。
電子契約書を使うことで対応する法律が変わった時なども安心して使えるでしょう。