契約書は2社以上の企業や個人の間で契約を結んだことを証明するものです。そのため、誰が読んでも理解できるように文章化して、契約した当事者の意志で作成されていることを当事者以外の人に証明できなればなりません。契約は、口約束という言葉の通り、口だけで契約することもできますが、企業間の契約では、その内容の詳細を取り決めたものを文書化して作成するのが一般的です。
ここでは、契約書にどのような内容を記載するのか、ルールをふまえながら解説します。
目次
契約書を作成する際の構成の書き方やルールを紹介
企業にとって重要な書類である契約書は、どのように作成していけばいいのでしょうか。まずは基本的なルールを解説します。
契約書の構成に欠かせない項目とは?
契約書は大きくわけて6つの構成で成り立っています。
①表題:契約書の冒頭では、どのような契約内容かわかりやすい表題をつけます。誰にでも分かるようにすることで、後から検索する際に手間も省けます。
②前文:「甲及び乙は次のとおり契約する」というように、契約の当事者を明らかにし、甲・乙の略称で決めています。
③本文:いちばん重要な部分であり、あいまいな表現はトラブルの原因になりかねません。特に順序などの決まりはありませんが、時系列で箇条書きで記載した方が分かりやすいでしょう。
④末文:本文の一番最後の部分に記載します。契約書の正本を〇通作成、正本は誰が所持し、写しは誰が所持するというようなことを末文として明記します。
⑤作成日:契約書を作成した日を書きます。
⑥住所・社名・代表者・押印:契約には、署名捺印か記名押印が必要になります。署名は手書き名前を書くことで、記名は署名以外でゴム印、印刷、代筆などで記載することです。記名の場合は署名ではないので押印が必須になります。
一般的に不動産関係の契約書では、最後に物件の表示をします。
業務委託契約書を作成する場合を具体例で解説
業務委託契約書は、業務を外注する側である委託者とその相手が受託者になることを頭に入れておきましょう。それでは具体的に3つの構成について解説していきましょう。
当事者の甲乙の決め方と書き方
当事者の表示とは、契約する当事者同士でどのような契約をするのかを明示します。「業務委託契約において、乙が甲に対して提供する業務(以下、「業務委託」という)は次の通りとする。」などの1文を入れます。受託者が甲、委託者が乙の場合が多いですが、特に規定はありません。契約当事者が3者以上になる場合は、「丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」と表示しましょう。
契約書における消費税の書き方と見本
業務委託契約書に限らず、消費税の割合は、時代とともに変更される可能性がありますので、どの時代にも対応できるような書き方にしておいた方が賢明です。例えば、月額〇〇円(消費税別)や金額〇〇円(税抜、別途消費税)のように記載しておけば、消費税率が変更されても訂正する必要がありません。
項は1つの契約条項の中で細分化された段落
本文は、箇条書きにします。階層別に「条・項・号」の順序で詳細を記載します。号より更に詳しく必要がある場合には、イ、ロ、ハを用います。
業務委託契約書を作成する場合は、一般的な雛形をそのまま活用せずに、自社の業務内容に合わせた契約書に作り直すことが大切です。
その他の契約書を作成する場合の注意事項
海外との取引も増えてきて、英文の契約書を締結する機会も増えてきました。そこで英語の契約書の場合の注意点や、インターネット上で出回っている契約書のテンプレートを利用する際の注意点を解説します。
英語の契約書の書き方で注意すべき点
日本の契約書では、ほとんど見ることがないですが、海外の企業と取引する際に交わす英文契約書は、規定内容が細かく設定されているのが特徴です。また、第1条に定義条項が設けられています。定義条項とは、契約書内で頻繁に使用される用語の解説が明記されています。なぜなら、用語の意味や認識の違いを防ぐために、定義条項が盛り込まれていると考えられています。
実際に英文契約書を作成する際の注意点は4つあります。
①契約違反や債務不履行の取り決め
相手方とのトラブルを回避するためにも、不可抗力に該当する事象を取り決めた上で、免責する内容を記載しておく必要があります。また、重大な違反を犯した場合を除き、通常は損害賠償で対応し、契約解除ができません。万が一の場合を考慮し、契約の解除事由について事前に取り決めしておきましょう。
②合意している内容は全て記載
英文契約書の場合は、書面重視の考えに基づき、双方の合意内容について正確に記載しなければなりません。
③あいまいな表現はNG
幾通りもの解釈ができる表現を用いるとトラブルの原因になりかねません。意味が一義的に伝わるような表現を用いましょう。
④英文契約書の用語を理解する
特有の言い回しや専門用語が使用されるため、英文契約書の作成時は言葉の適切な使い方を理解しておくべきでしょう。
契約書のテンプレートを利用する際の落とし穴
契約書のテンプレートは複数出回っていますが、どれも全て自社を対象として作成している契約書ではありません。したがって、利用する場合は必ず自社に合うように修正をして活用すべきです。手軽で簡単にそれなりの契約書が作成できてしまいますが、自社の契約内容に合った契約書になっているのか、さまざまな方法でチェックしておきましょう。
電子契約書を導入すれば書き方などの手間を軽減できる
契約書を紙ベースで運用するのは、記名や押印、製本などの手間がかかってしまいます。しかし、全て電子化してしまえば、電子署名で証拠性を証明できるので、手書きで記載していた部分や押印の手間も省くことができ、業務の効率化につながります。
今後は、電子契約のシステムを導入する企業も更に増えていくでしょう。