ケース別の契約書の雛形作成のコツと英文対応の雛形を紹介

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ケース別の契約書の雛形作成のコツと英文対応の雛形を紹介

契約書と言っても、業務委託契約書、賃貸契約書、基本取引契約書などさまざまな契約書が存在しています。契約書によっては、盛り込む内容も異なりますので、どのように契約書を作成すればいいのか困った経験はないでしょうか。

現在では、インターネットで調べるとさまざまなタイプの契約書の雛形が無料で提供されています。雛形を利用することで、手軽に簡単に契約書が作成できます。しかし、雛形をそのまま使用してしまうと、実際の取引の内容と合っておらずトラブルになる可能性があります。ここではさまざまな契約書の雛形を作成するポイントを紹介します。

 

雛形を利用して契約書を作成する場合のポイント

インターネット上で公開されている契約書の雛形を利用する際に、留意しておくべきポイントを紹介します。

雛形を作り直して自社に合う契約書に変更

雛形とは、書類の決まった書き方の見本であり、それが全てではないことを頭に入れておきましょう。したがって、雛形をそのまま利用するのはリスクが伴います。契約書は、実際の取引に関する内容を盛り込む必要があります。雛形は何かを基準にして作成されていますが、その基準が自社ではない限り、内容は合致しないでしょう。あくまでも、雛形は参考程度に留めておくほうが無難です。

無料公開されている雛形の契約書は秘匿性がない

企業にとって契約書は、非常に重要な書類になります。契約書の内容は、企業秘密であり、価値があるものになるので、契約書の内容が公開されることはありません。裏を返せば、企業が作成した契約書は通常公開されないのが一般的で、公開されている契約書の雛形は秘匿性がないと言えるでしょう。したがって、無料公開されている雛形は、他の企業でも使用されている可能性があるということです。そのまま使用するのではなく、自社に合うように修正をして利用するようにしましょう。

 

契約書を作成する際の3つの主なポイントと雛形を紹介

契約書を作成する際によく利用されている、主なポイントを3つ紹介します。

業務委託契約書の場合

業務委託契約書は、自社の業務を他者に外注する場合に締結する契約書です。その内容の主な2つの事項は、業務を外注する委託者が、受託者に対して業務を発注することと、委託者が受託者に対して業務の報酬を支払うことの2つです。ただし、その2つの事項を記載すればよいのではなく、他にも一般的に記載すべき事項があります。

 

①契約の目的(例:甲は乙に甲に対する〇〇業務を委託し、乙はこれを受託する。)

②委託業務内容(例:甲は乙に対し、以下に定める業務(以下「本業務」という)を委託し、乙はこれを受託する。(1)〇〇〇 (2)〇〇〇)

③委託業務の遂行方法(例:乙は委託業務を〇〇に担当させ、それ以外の者に担当させない。)

④再委託に関して(例:乙は委託業務を第三者に再委託しない。)

⑤契約期間(例:本契約の期間は、〇年〇月〇日より〇年〇月〇日までとする。)

⑥報酬と報酬の支払い時期(例:甲が乙に支払う報酬は、月額〇〇万円(税別)とする。乙は、当月分の報酬を甲に請求し、甲は、請求対象月の翌月〇日までに、乙の指定する金融機関口座に支払うものとする。)

⑦知的財産の帰属(例:委託業務の過程で作成された著作物の著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)、及び委託業務の過程で生じた発明その他の知的財産又はノウハウ等に係る知的財産権は、全て甲に帰属するものとする。)

⑧禁止事項(例:乙は、甲の事前の許可を得ないで、甲の同業他社の△△事業についての〇〇業務を行ってはならない。)

⑨秘密保持(例:本契約において、「機密情報」とは、甲および乙は、本契約に関連して知りえた相手方の技術上・経営上の一切の秘密、及び甲乙間の取引内容に関する情報をいう。)

⑩損害賠償(例:甲又は乙が自社の責めに帰すべき事由により相手方に損害を与えたときは、すみやかにその損害を賠償しなければならない。)

⑪契約の解除(例:甲または乙は、他の当事者が次の各号の1つに該当したときは、催告なしに直ちに、本契約の全部または一部を解除することが出来る。(1)〇〇(2)〇〇)

⑫反社会的勢力の排除(例:甲および乙は、それぞれ相手方に対し、次の事項を確約する。(1)〇〇(2)〇〇)

⑬合意管轄(例:甲および乙は、本契約に関して紛争が生じた場合には、甲の本店所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。)

主な盛り込むべき項目と(例)の文頭の雛形を記載しましたが、詳細は加筆する必要があります。

コンサルティング契約書作成の場合

コンサルティングを依頼する際に締結する契約書がコンサルティング契約書です。主な項目や内容は前述と同様ですが、2つの項目名が変更になります。

1つ目は、「業務委託内容」が「コンサルティング委託範囲」になります。雛形の例は、業務委託内容と同じです。その後に詳細の業務委託の内容や範囲を明記します。

2つ目は、「委託業務の遂行方法」が「コンサルティング業務の遂行方法」になります。例としては、「乙は毎月〇回、担当者に甲を訪問させ、業務の進捗、方針に関するミーティングを行う。」など、どのようにコンサルティングを行うのか、例えば「電話やメールで行うのか、実際に面談して行う」、「面談で行う場合に場所はどこか」など詳細を記載しておきましょう。

顧問契約書を作成する場合

顧問契約書とは、専門家が顧問料を対価に、相談や事務処理、専門的な助言をしてくれるサービスを受ける契約です。顧問契約書を考えるにあたり注意すべきポイントは、顧問契約の目的です。その目的を遂行するにはどのようなサービスが必要なのか熟慮しましょう。また、顧問契約書の作成において抑えておくポイントは6つあります。

 

1.顧問料の金額

2.どのような範囲の顧問を受けられるのかといったサービス内容

3.別途料金が発生する条件

4.別途料金の計算方法

5.契約を解約できるのはどのような場合か

6.契約を解約した場合の顧問料の処理はどうするのか

このような点を契約内容に盛り込んでおくようにしましょう。

 

英文契約書の雛形を運用するコツ

英文契約書とは、国境を越えて取引される、モノ・金・人に関わる取り決めのことで、英語で記載されています。英文契約書について運用ポイントを紹介します。

英語と日本語の契約書の違い

英語と日本語の契約書は、取引条件の内容に関して英語の方が圧倒的に詳しく記載します。多いものでは、数十ページにも及ぶことがあります。そして、英文では「定義」から始まることがほとんどです。その契約書の中で頻出する用語の説明を記載していることが多いです。

英文業務委託契約書を作成するポイント

英文業務委託契約書は、どのような点に注意して作成すればいいのでしょうか。記載しておくべき項目を紹介します。

 

①どのような業務やサービスを提供するのか、サービスの範囲を明記

②業務やサービスがどのような方法で提供されるのか、また下請けの可否も記載

③委託料や別途料金がかかる条件を記載

④契約の期間を明確にし、契約終了時に当事者がすべきことがあれば記載

その他注意点としては、日本企業が海外で現地の業務委託を受けている場合は、現地の労働法が適用されることがありますので、事前に現地法を調査しておく必要があります。

 

契約書の電子化で雛形データを一元化して保存が可能

企業において契約書を取り扱う部門は複数にわたっています。同じ取引先が各部署にあっては、企業として契約内容の全体像を把握できません。契約書をスキャンして電子化することで、1つの場所に保管することが可能になります。

また、契約書の雛形も同じ場所に保管することで、管理もしやすくなるでしょう。書類を全て電子化すれば、契約書の作成や管理の手間が軽減されるのでおすすめです。

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