取引が長期間になるとき、契約書に「自動更新条項」を記載することがあります。自動更新とは、契約の存続期間を定める一方で、双方が契約を終了させる意思表示をしなければ契約は更新され、それ以降も同様の取り扱いをする、というルールです。
「契約を終了させる意思がなければ」という条件はありますが、契約を更新させる意思を示さなくても更新してしまうことから「自動」更新と呼ばれます。
この記事では、契約書に自動更新条項を記載するメリットとデメリットをご紹介します。
目次
自動更新条項とは
企業間が契約を交わす際に定めた存続期間(始期~終期)が満了すると、契約は終了します。しかし、契約書に「自動更新条項」を記載することで、再契約を交わすことなく契約を自動的に更新できます。
自動更新条項の文面には、
- 契約の存続期間(始期~終期)
- 自動更新の条件
- 自動更新された場合の契約期間
の3点を必ず明記します。契約書の存続期間は当事者間で決めることができます。
[例文]
「本契約の存続期間は、○年○月○日から□年□月□日までの△年間とする。ただし、期間満了の◇カ月前に双方から意思表示がなければ、同じ条件でさらに△年間更新され、それ以後も同様とする」
・当事者の解約の意思があれば更新を拒絶することも可能
自動契約条項を設けていたとしても、更新拒絶の申出期間内に相手方にその意思を通達することで、契約を終了させることも可能です。
契約を更新したくない場合は、条項で定めた期日(満了期間から◇カ月前〜)までに忘れずに申し出ましょう。
自動更新のメリット
契約書に自動更新条項を記載するメリットは、契約更新にかかる手負担を大幅に軽減できる点です。
たとえば、
- 契約期間が満了したあとも契約を継続する必要がある
- 長期的な業務委託などで契約期間を定めにくい
といった場合、自動更新条項によって契約を結び直すことなく取引を継続できるため、更新の合意や新たな契約の締結といった余計な事務手続きを削減できます。
自動更新のデメリット
条項に従って更新拒絶の申出をすれば契約を終了できるとはいえ、自動契約をしてしまうと、企業間の関係性や状況によって、なかなか契約を打ち切ることができないのも現実です。
本来は自動更新によって継続的な契約を交わしていたのですから、更新拒絶によって双方の関係が悪化する可能性もあります。
契約を終了したことで相手方に及ぼす損失の大きさや当事者の非対称性(企業と個人など)、解消理由などによっては、更新拒絶が不履行になるケースもあります。
ビジネスに合わせた条項を定めることでトラブルを回避
こういったトラブルやデメリットを解消するためには、契約の存続期間や更新拒絶の申出期間など、ビジネスの状況にあわせた自動更新規約を定めておくことが重要です。
例えば、損害が発生するリスクがある場合は、契約書の存続期間を短くしておけば、実際に損害が発生しても最小限で抑えることができます。
また、大きな利益が見込めそうなときは存続期間を長期にすれば、機会損失を回避できるでしょう。
自動更新のメリットを活かすなら電子契約書をおすすめできる理由
自動更新条項を契約書に記載することが多い企業には、早期に電子契約書システムを導入することをおすすめします。
自動更新条項を記載する契約書が多くなっている企業は、契約書を作成する機会自体が増えているのではないでしょうか。
取引期間が長くなれば契約書の枚数が増えるので、手書きの契約書だと、事務職の手間がかさみ、非生産的です。
電子契約書なら、契約本数の増加ほど、事務作業は増えません。
また、取引が長期化すれば、契約書も長期間保管しなければなりません。
手書きの契約書を長期間保管すると、次のようなデメリットが生じます。
1)手間がかかる
2)保管スペースが必要
3)過去の契約書の確認に苦労する
4)紛失や破損のリスクがある
電子契約書で契約書を電子化すれば、上記のデメリットはほとんど解消できます。
A)パソコン操作で済むから手間がかからない
B)保管スペース不要
C)過去の契約書は検索すればすぐに確認できる
D)紛失のリスクがない(データの破損リスクはあります)
存続期間の管理が簡単になる
自動更新条項を使った契約書が増えると、契約の存続期間の管理が複雑になります。手書きの契約書であれば、紙の契約書を開いて、存続期間をチェックしなければなりません。
電子契約書システムを導入していれば、存続期間をパソコンの画面上で確認することができます。
作業効率は段違いです。
事務の効率化を考えるのであれば電子化の検討を
自動更新条項は、継続的な契約を交わす際、改めて契約を結締する必要がないため、余計な手間やコストを削減できるメリットがあります。
長期契約を見越した自動契約には、電子契約書がおすすめです。
パソコンひとつで契約書を作成・管理できるうえ、自動契約に重要な存続期間の管理も簡単です。
契約事務の合理化を考えている企業であれば、電子契約書の導入を検討してみてはいかがでしょうか。