契約書には押印と署名がセットになっているという認識をしている人は多いです。
しかし、場合によっては押印が絶対に必要というわけではないため、押印の要否について知っておくことで、契約手続きを手軽に済ませることができるようになります。
本記事では、派遣契約と法人契約における個別契約書の押印の必要性について、詳しく説明します。
目次
派遣社員の個別契約書に押印は必要か?
派遣元と派遣社員で契約を結ぶ場合、派遣社員は個別契約書に基づいて派遣業務を行います。
派遣社員によっては日替わりで異なる派遣先に働きに行くケースもあるため、契約書を交わすたびに押印していると、契約作業だけで多くの時間を取られてしまいかねません。
まずは、派遣社員の個別契約書における押印の要否について、詳しく説明します。
派遣業務における個別契約書での押印は不要
派遣業務において、個別契約書での押印は不要とされています。そのため、異なる派遣先で仕事をするたびに、派遣元に契約書の押印のために行く必要は無く、契約内容を派遣元から一方的に受け取ることで、個別派遣契約が成立するのです。
それによって、契約期間が短い派遣先や、複数の派遣先で働いている場合でも、個別契約を結ぶ業務を簡略化できるため、派遣元と派遣社員双方が本来の業務に専念することができるようになります。
労働者に契約内容を伝える方法は書面でなくても良い
個別派遣契約を結ぶ際、契約書に押印する必要がないため、派遣社員は派遣元にわざわざ足を運ぶ必要がありません。
そのため、手渡しで個別契約書を受け取らなくても、郵送などの手段で契約書を受け取ることもできます。
ただし、厚生労働省によると、派遣社員が希望した場合は、電子メールやFAXを利用して契約内容を送信することができるとされているため、必ずしも書面で契約内容を伝える必要はないということを知っておきましょう。
それによって、派遣元は郵送代や用紙代といったコストを減らせるだけでなく、印刷や郵送の手間を省くことができるようになります。
また、派遣社員は場所を選ばずに契約内容を確認できるようになるというメリットを得られるのです。
法人間での派遣契約では押印が必要
派遣元と派遣社員での個別契約では、契約書に押印する必要はありませんが、法人間で「労働者派遣契約」を結ぶ場合は、契約書に押印と署名を施す必要があります。
そのため、法人間の契約で合意したことを証明するためには、押印の要否について理解した上で、適切に契約書を作成できるようになっておくことが大切です。
2019年2月の時点では、労働者派遣法において、法人間で結ぶ「労働者派遣契約」は、書面で交わさなければならないとされていることも知っておきましょう。
法人間における個別契約とは?
派遣契約における個別契約とは違い、法人間の契約にも個別契約が存在します。
ここからは、法人間における個別契約における押印の要否について説明します。
取引ごとに結ぶ契約のこと
そもそも法人間における個別契約は、取引ごとに締結される契約のことを言います。
その際、発注書や注文書を用いて契約が結ばれることが多く、取引の度に契約手続きを行うことで、お互いの業務を進めていくことになります。
基本契約との違いを知っておくことが大切
法人の取引では、個別契約とは別に基本契約というものも存在します。
契約ごとに締結される個別契約とは違い、基本契約は相手と継続的な取引を続けていくために制定する基本的な事項です。
そのため、個別契約書を交わす手間をできるだけ少なくしたいのであれば、注文書や発注書に記載する内容をあらかじめ基本契約に盛り込んでおくと良いでしょう。
書面での契約では押印が必要
個別契約書を書面で取引する場合、法人間での契約が成立したことを証明するために、双方の署名と押印が必要になります。
この時に使用される印鑑は、必ずしも実印である必要はありません。しかし、偽造や改ざんのリスクを抑えるためには、所有者がはっきりしている実印を使用したり、印鑑証明書を添付したりすることがおすすめです。
電子契約書を利用すれば押印なしでも良い
書面で個別契約書を交わすのであれば、当事者同士の署名と押印が必要になりますが、電子契約者を利用すれば、押印することなく契約を交わすことができます。
電子契約書では、契約者本人が文書を作成したことを証明する電子署名や、契約書を作成した日時を証明するタイムスタンプという機能が設けられています。
客観的に文書の真正性を証明できる仕組みが整っている電子契約書を利用すれば、押印の手間を省いて、効率的に契約を締結することができるのです。
個別契約書の種類による押印の必要性を知っておこう
本記事では、派遣と法人に分けて、個別契約書の特徴や押印の必要性について説明しました。
特徴を理解した上で契約手続きを進めるようにすると、押印や署名の必要性が判別でき、スムーズに業務を進めることができるようになります。
また、電子契約書を利用すれば押印の手間を省いて契約を締結することもできるので、検討の価値はあります。
ここで説明した内容を参考にして、効率的に契約手続きを進められるようになってくださいね。