契約書には収入印紙が必要な種類のものと不要な種類のものがあります。それでは、業務委託をする際の請負契約書に収入印紙は必要なのでしょうか。
また、収入印紙を契約書に貼るのであれば消印(割印)が必要です。消印ができていないと収入印紙が貼ってあってもペナルティを受けることもあります。
今回は「請負契約書に収入印紙が必要なのか」と「収入印紙を貼る場合の消印のやり方」の2つについて確認します。
目次
収入印紙が必要かは契約書の内容による
業務委託には「請負」と「委託」の契約書があります。これらの契約書に収入印紙は必要なのかを見ていきましょう。
請負契約書なら印紙が必要
請負の内容が記載されているなら、基本的に収入印紙が必要です。工事請負契約書や物品加工注文請書、会計監査契約書、プロスポーツ選手の専属契約書など、さまざまな種類の契約書がこれにあてはまります。
なお、収入印紙の金額はその契約の内容で変わります。内容で確認すべきポイントは短期間で終わる契約なのか継続的な契約なのかという契約期間や、金額が記載されているかなどです。
金額が書かれている契約書の場合は100万円以下なら200円、100万円を超えて200万円以下なら400円、200万円を超えて300万円以下なら千円…というように収入印紙代が決まります。
金額について書かれていても、特許権などの無体財産権について記載した契約書はまた異なるためよく確認してください。
委託についての契約書なら印紙代不要
もし、請負契約ではなく委託契約の内容であれば、収入印紙は貼らなくて結構です。
ただ「業務委託契約書」と書かれていても請負契約の場合があるように、委託契約のつもりでも実際には収入印紙が必要だったということも多いものです。
収入印紙が必要なのに貼られていないと、ペナルティを受けることもあるため注意しましょう。
また、委託契約にあたるものでも「代理店などで販売の委託」の契約書は収入印紙が必要です。
〇請負か委託か、契約書を見分けるポイント
契約書が請負契約にあたるものなのか委託契約なのか、見分けるためのポイントを確認します。それは「委託された仕事を完成させる義務があるのかどうか」です。
仕事を完成させなければならず仕上がりについて責任があったり、条項でそれにかかわる内容が記載されていたりするなら、請負契約書にあたります。
委託された仕事の仕上がりがどうであっても変わらず、その業務の作業をしてもらうこと自体が目的なら委託契約です。
委託契約だと思っていても「出来上がったものについて不備があれば罰金」などといった条項があればそれは請負契約です。収入印紙が必要なので気をつけてください。
請負契約書の消費税分の代金は印紙代必要?
請負契約書の収入印紙代は契約の金額によって変わると前述しました。では、契約金額に含まれている消費税分の金額についても印紙税の対象にあたるのでしょうか。
請負契約書に代金をどう書くかによって変化
消費税分の金額についても印紙税の対象になるのかどうかは、請負契約書の書き方によります。同じ金額を請求する場合にも契約書に代金をどう書くかによって収入印紙代が変わるので、注意しましょう。
〇消費税の金額を分けて記載すれば不要
消費税の金額によって収入印紙代が増えないようにする方法を確認していきます。それは「消費税の金額を分けて記載すること」です。
・請負金額 330,000円
(内 消費税等30,000円)
・請負金額 300,000円
消費税等 30,000円
合計額 330,000円
上記のように請負契約書に消費税を分けて金額を記載すると、消費税については印紙税の対象金額になりません。
・請負金額 330,000円
(消費税等込み)
このように、消費税の金額について分けずに合計金額として書かれている場合には消費税分についても印紙税の対象金額になります。
契約書に貼った印紙には消印(割印)が必須
収入印紙を貼るときには消印が必要です。なお「割印」という言葉を使う人も多いですが、収入印紙を使いまわせないように使用済みだという印を付けるときには「消印」と言います。
消印(割印)していないと過怠税がかかる
収入印紙に消印がないと「収入印紙をまた使いまわすのかもしれない」という疑いがぬぐえません。
「この契約のためだけの収入印紙であり、もう印紙税を納めたものだ」と証明するには消印をしないといけないのです。
消印を忘れてしまった場合には過怠税がかかることがあります。ちゃんと支払っているにもかかわらず指摘を受けてしまうことにならないよう、消印も忘れないようにしましょう。
契約書に貼る印紙を消印(割印)する方法
それでは消印する方法についても確認します。消印は「すでに印紙税を納めてある」とわかるようにするものです。そのため、契約の証明とするような印鑑でなくともかまいません。
シャチハタでも屋号の入った角印でも、ボールペンで書いたサインでもよいのです。「この契約書で使ったものだ」とわかるよう、契約書と収入印紙との間にまたがる状態で印を付けるようにしましょう。
印紙についても確認して請負契約書を作ろう
このように、請負契約書を作るときには収入印紙についてもしっかり確認する必要があります。「どのような契約か」や「消費税分金額の記載方法」などによっても収入印紙の金額が変わり、「消印してあるかどうか」で印紙税を払ったかの判定が変わります。
「印紙税をちゃんと払っているつもりだったのに…」とならないように気をつけましょう。なお、電子契約書にすれば印紙税の対象文書ではなくなります。
収入印紙代のコスト削減になるうえに印紙税支払い漏れの可能性もなくなるため、活用していくことをおすすめします。