英文で表記されている契約書を日本語表記に翻訳する場合、適切な翻訳ができなければ、契約内容の認識に齟齬が発生してしまう可能性があります。
そこで今回は、英文契約書を翻訳するときのポイントや注意点について、詳しく説明します。
目次
英文契約書を翻訳する時のポイント
英文契約書を翻訳するときのポイントは、以下の2つです。
・英文契約書の特徴を理解しておく
・国際基準に合わせた翻訳を意識する
これらのポイントを押さえて翻訳することで、日本語表記でも正しい契約内容を把握できるようになり、契約相手とスムーズに取引を進めることができるようになります。
ここからは、英文契約書を翻訳するときのポイントについて、詳しく説明します。
英文契約書の特徴を理解しておく
1つ目は、英文契約書の特徴を理解しておくことです。
日本語表記の契約書は数ページで完結する場合もありますが、 英文契約書の場合、契約内容が具体的に表示されているため、ページ数が数十ページに及んでいることもしばしばあります。
翻訳によって契約内容や取引条件が省かれることがないよう、全ての文言を正確に翻訳することが求められます。
国際基準に合わせた翻訳を意識する
2つ目は、国際基準に合わせた翻訳を意識することです。
日本語表記の契約書では日本法に基づいて文書が取り扱われますが、英文契約書では国際基準となっている英米法に基づいて契約書が作成されています。
そのため、英米法についてよく理解している人が翻訳するか、翻訳した後にリーガルチェックを受けるといった対策をとらなければ、適切な文書に仕上げることが難しくなってしまうのです。
翻訳を外部に委託する場合の注意点
社内に英文契約書を翻訳できる人材がいない場合、翻訳を外部に委託しなければならないということになります。
しかし、注意点を理解した上で翻訳の外部委託をしなければ、適切な文書に仕上げてもらうことができなくなり、正確に契約内容を理解できなくなってしまう恐れがあるのです。
ここからは、翻訳を外部委託する場合の注意点について、詳しく説明します。
信頼性のある翻訳会社かどうか
英文契約書の翻訳サービスを提供している会社はたくさんありますが、外部委託する翻訳会社の信頼性が高いかどうかは重要なポイントです。
実際に翻訳業務に携わる人がどれだけ法的な知識を持っているのか、弁護士が最終的に監修してくれるのかを確認したり、翻訳された文言の意味や根拠を理論的かつ実務的に説明できるかどうかを確認しておきましょう。
翻訳会社や翻訳者の実績はどうか
翻訳会社や担当する翻訳者が、豊富な実績を持っているかを確認しておくことも大切です。
翻訳能力が高かったとしても、実際に英文契約書の翻訳に携わった経歴が浅ければ、法的に正確性が高い文書に仕上げてもらえる可能性が低くなってしまいます。
過去に翻訳した契約書の実績などをチェックすることで、安心して任せられる会社かどうかを判断できるのです。
業界の専門知識を熟知しているか
英文契約書を翻訳してもらう場合、契約内容に関連した業界の専門知識を熟知しているかどうかも、正確性の高い翻訳をしてもらえるかに関わってきます。
契約書によっては、業界独特の慣例や常識を把握していなければ伝わらないような内容もあるため、翻訳者のレベルによっては、細かいニュアンスや意図が伝わらない文書になってしまう危険性があるのです。
依頼する翻訳会社が、どの業界や分野に強みを持っているのかを確認した上で業務を依頼することが、適切な翻訳をしてもらうためのポイントになります。
セキュリティが担保されているか
契約書という重要事項が記載された文書では、セキュリティが担保されているかは非常に重要となります。データがハッキングにより改ざんされたり、外部に情報が漏洩してしまうようでは、安心して翻訳を依頼することはできません。
そのため、翻訳会社がどのようなセキュリティシステムを設けた上で仕事をしているのかを把握しておきましょう。
その際、ソフトウェア上のセキュリティ機能だけでなく、社員教育がどれくらいされているか、秘密保持契約を結んでもらえるかといった面についても、あらかじめ確認しておくことが大切です。
明確な料金設定になっているか
翻訳会社によって、翻訳にかかる料金設定が異なるため、明確な料金設定をしている翻訳会社を選ぶようにしましょう。
翻訳する契約書の分野によって料金設定の違いを設けていたり、文字数やリーガルチェックの有無によって料金が変わってくるというシステムがあるなど、さまざまな料金設定の仕組みがあります。発注をかける前に、いろいろな翻訳会社を比較してみるのがおすすめです。
注意点を理解した上で英文契約書を翻訳しよう
本記事では、英文契約書を翻訳するときのポイントや、翻訳を外部委託する際の注意点について説明しました。
正確性の高い翻訳をしてもらうためには、英文契約書と日本語表記の契約書の違いを理解した上で、適切な翻訳方法を選択する必要があります。
ここで説明した内容を参考にして、適切な翻訳ができるようになり、スムーズに取引を進められるようになってくださいね。