国際取引の契約書締結に欠かせない準拠法とは?要件や効果を解説

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国際取引の契約書締結に欠かせない準拠法とは?要件や効果を解説

海外企業と取引をしている間にトラブルが起こり訴訟に発展すると、どこの国の法律を適用すべきかという問題が生じます。

例えば、それぞれの企業の本拠地が日本とアメリカであるものの、商品を作る工場は中国にあるという場合に、もし中国の工場で問題が起きたとすると、どこの国の法律が適用されるのでしょうか。

このような場合に非常に重要となるのが、準拠法です。本記事では、この準拠法について詳しく解説します。

 

国際間の契約書には欠かせない準拠法条項

海外企業との取引には、準拠法条項を盛り込むことは欠かせません。ここでは、この法律について詳しく解説します。

 

そもそも準拠法とは

準拠法とは、国際取引に関してトラブルが生じた場合、どこの国の法律を適用するのかを定めたものです。日本企業同士の取引ですべてが日本国内で完結するのであれば、問題が生じても日本法が適用となります。そのため、あえて契約書に盛り込む必要はありません。

しかし、グローバル化が進んだ昨今、海外と取引をする機会も多いことでしょう。海外企業と契約を交わす場合は、双方が自国法の適用を望むので、準拠法条項を契約に盛り込むことは必須です。

さらにインターネットを介した契約には、特に注意が必要でしょう。契約締結に利用規約を用いる場合は、ほぼ誰でもネット上で簡単に同意できるため、準拠法を定めておくことは必要不可欠です。

 

日本法が適用される準拠法条項の例文とは

日本法が適用される準拠法条項の例文は、おおむね次のような内容となります。

「第◯◯条(準拠法)

本契約は、日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。」

外国語による契約であっても、言語が異なるだけで同じような内容となります。

 

裁判管轄条項との違いとは

準拠法条項と並んで、裁判管轄条項というものがあります。何らかのトラブルが生じて訴訟となった場合、最終的には裁判において解決を図ることになりますが、時間とコストの観点からもどこの裁判所に提起するかは非常に重要です。

 

「法の適用に関する通則法」とは

契約の当事者間で、どこの国の法律を適用するか定めていない場合、国際私法または抵触法によってどこの国の法律が適用となるかが決まります。日本においては、「法の適用に関する通則法」がこれらの法律に該当します。

通則法第7条では準拠法を選択している場合について、また通則法第8条では当事者間で準拠法を定めていない場合について、それぞれどこの国(または州)の法律が適用となるかが定められています。

ただし、準拠法を定めている場合でも、労働法規や競争法規制、国内産業保護規制などの強行法規の適用は免れることはないので、注意が必要でしょう。

 

準拠法について契約書に記載なしの場合

準拠法を契約書に記載しない場合、トラブルが生じたときにどのような方法で解決を図るのでしょうか。

 

準拠法は複数の国の取引では対立しやすい法律

準拠法は、国際間の取引には重要な条項です。しかし、「自社にとって有利となるよう進めたい」という思惑から、双方の主張が対立しやすい条項でもあります。もし、当事者間で準拠法の選択をしない場合は、その契約に最も密接な関係のある国の法律が適用されます。

しかしながら、「密接な関係の国」をどのように選ぶのかという問題が生じ、さらにトラブルが大きくなってしまうでしょう。

 

妥協案として第三国の法律を選択する

どこの国の法律を適用するか、当事者間で合意できない場合は、妥協案として第三国を選択することも考えられます。上述したように、準拠法を定めておかないとトラブルを深刻化させる原因となり得ます。

アジアでの取引には、第三国としてシンガポールが選ばれることが多いようです。

 

〇アジアではシンガポールの法律により仲裁

シンガポールは、アジアにおけるビジネスの中心地であり、以前より日本企業が多く進出しています。安定した政権や良好な二国間関係、公用語が英語であるなど様々な理由から、日本企業の生産の拠点でもあります。

シンガポールはイギリス法系の流れを汲んだ法制度を採択しており、司法制度も安定しているため、アジアで発生するトラブルに関しては、シンガポールの法律により仲裁されることが多いです。準拠法を定めない場合や当事者間で合意できない場合は、第三国としてシンガポールが選択されているのでしょう。

 

電子契約なら準拠法について契約変更も簡単

従来、準拠法や裁判管轄条項の変更には、当事者間でメールのやり取りや交渉をした上で、個別に契約を変更する必要がありました。双方が契約書を確認し押印やサインまで行わなければならず、その手続きは煩雑であり時間やコストがかかっていたのが実状です。

しかし、電子契約であれば準拠法についての契約変更もネット上で行うことができ、電子署名を活用することでサインや押印のためのやり取りをする必要もありません。

これからもさらに海外取引は増えていくことが予想されます。この機会に電子契約システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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