電子契約書に限らず、契約書を作成する際には、契約書の構造を理解しておく必要があります。契約書にはフォーマットとなる形があり、「条」や「項」、「号」と呼ばれる段落で構成されています。契約書の基本的な書き方を押さえておけば、紙の契約書にも電子契約書にも応用することが可能です。
そこで、ここでは契約書の基本構成や書き方、ポイントなどについてわかりやすく解説します。電子契約書が持つ契約書の作成に便利な機能についてもご紹介していますので、電子契約書作成時の参考にしてみてくださいね。
目次
契約書の本文構成「条・項・号」
まずは、契約書の本文を構成する「条」、「項」、「号」について、以下にくわしく見ていきましょう。
契約書の「条」は1つの契約条項全体の括りをあらわす
1つの契約書の中には、「開始日」や「契約期間」など、さまざまな契約内容を盛り込むのが一般的です。その中で、たとえば「契約期間に関する条項」の全体を括る章の1つとして「条」が使われます。
「民法第〇条」など、法律の条文などでも使われているため、目にしたことのある方も多いでしょう。当事者同士で交わす契約書でも、この「条」を使うことで、記載内容の効力や規約を明確にすることができます。
契約書の「項」は「条」の中で個々に分けた段落をあらわす
1つの契約内容全体である「条」の中で、さらに個別に分けた段落が「項」となります。たとえば「契約期間に関する条項」という「条」を1条目とすると、その中で「契約開始は〇月〇日から〇月〇日までとする」「契約は1年ごとに自動更新となる」「更新を希望しない場合は、〇か月前までに申し出る」といった3つの条件を盛り込みたい場合、1条の中に1~3項の文章が入ることになります。
契約書の「号」は「項」の中で2つ以上列記された事柄をあらわす
最後の「号」は、「項」の中でさらに2つ以上の事柄を列記したいときに使用されます。たとえば「契約に関する条」の「契約は1年ごとに更新となる」という「項」の中に「以下に該当する場合は自動更新とならない」として「・契約違反が発覚した場合・悪用した場合・契約者と使用者が異なる場合」といった3つの事柄を記載する場合、項の中に3つの号を使って作成する、といった流れになります。
このように、「条・項・号」と細かく分けて契約書を作成することで「契約書の1条3項2号にもとづいて、契約を更新しない」というような表現を取ったり、「1条2項について納得できない」といった表現が可能となります。
「条・項・号」で書くときのポイント
次に、「条・項・号」を使って契約書を書くときのポイントについて解説します。
「条」にはアラビア数字と契約条項の見出しを書く
契約書の「条」は、通常「1条」「2条」のように、アラビア数字を用いて書かれます。漢数字を用いることも可能ですが、読みやすさからアラビア数字が選ばれることが多いようです。
見出しについては「(契約期間)第1条 」と見出しを先にする場合と「第1条(契約期間)」と後にする場合があり、どちらを使っても構いませんが、1つの契約書の中で使用方法は統一することをおすすめします。
「項」は複数ある場合のみ数字をつける
「項」は「条」の中の1段落となりますが、1項しかない場合は数字をつけずに「第1条(契約期間)甲は、乙との契約を…」と文章から書き始めます。
2項以上ある場合は
第1条(契約期間)
1 甲は~
2 甲乙間で~
のように、項ごとに数字をつけて書いていきます。
「号」はカッコ書きの数字で列記する
「項」の中で2つ以上を列記する「号」では、項の数字と分けるため、カッコ書きの数字で列記していきます。第1条(契約期間)
1 甲は契約期間について、以下に該当する場合無効とできる。
(1)悪用した場合
(2)契約書に虚偽の記載をおこなった場合
といった記載方法となります。
このほかにも、契約書には当事者を「甲」「乙」などを使って表現したり、号のさらに細分した項目では(ア)、(イ)、(ウ)などのカナ表記を使ったりなど、特有のフォーマットがたくさんあります。
電子契約書はテンプレを保存可能
電子契約書では、こうした契約書の記載内容について、一度作成すればデータを保存することができます。一度保存したデータを雛形にして、以降の契約書に何度でも使い回せるため、手間の削減やミスを減らす助けにもなるでしょう。
「Great Sign」では、作成したテンプレートをPDFなどでデータ保存できるサービスもあります。送付状などのビジネス文書に比べると、契約書の内容は表現や構成が独特で、コンプライアンスにも配慮する必要もあるため、電子契約書の便利な機能を活用するとよいでしょう。
契約書の構造は「条・項・号」に大きく分けられ、書き方や数字の付け方などにも一定のフォーマットが存在します。基本的な書き方を理解して、電子契約書のデータ保存といった便利な機能を活かし、手間をかけることなく正確な契約書を作成しましょう。