契約書に必要な捺印者とは?代表者以外が捺印できるケースも解説

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契約書に必要な捺印者とは?代表者以外が捺印できるケースも解説

有効な契約書には、捺印が必要不可欠です。通常、企業間の契約では双方の代表者が契約書に捺印するのが基本ですが、実際の契約業務では代表者以外でも捺印できる場合があります。そこで今回は、契約書を有効にするための正しい捺印者について、そして代表者以外の者が捺印できるケースや要件について解説します。

 

契約書の正しい捺印者とは

契約書には、必ず捺印が必要です。では、有効な契約を締結するために必要な捺印者は、どの役職者なのでしょうか。

 

代表者が捺印するのが原則

契約書の捺印は代表者、さらに詳しくいえば最上位にあたる役職である代表取締役が行うのが原則です。

その理由として、代表取締役は会社を代表する者として選ばれていることが挙げられます。また、会社法第349条において「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」とされているように、権限を有する人物ということがいえるのです。

※参考:会社法第349条https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2474

 

必ずしも捺印者が代表者である必要はない

会社での権限を持つ代表者が捺印を行うのが原則とされている一方、代表者が必ず捺印を実行しなければならないというわけではありません。

元々、代表取締役などの代表者は「法人の代理人」という立場です。そのため、ほかに同じ法人の代理人としてふさわしい人物がいれば、代表者以外での捺印でも契約締結に支障はなく、契約そのものも有効なものとして取り扱われます。

 

〇従業員などが押印代理するケースも多い

前述のように、契約の締結においては、代表取締役をはじめとした会社の代表者が契約書に捺印するのが原則です。しかし、そのほかの従業員などが代表者に代わって押印代理を行うケースも多いのが実状です。

この場合、従業員が代表者の名義を使用して押印の実務を行うため、書類上だけでは捺印者が本当にその名義人なのかどうかを正確に判別することは難しいといえます。

 

代表者以外の捺印者が認められるケースとは

原則的に、契約書の捺印者は代表者とされていますが、上記のように実際の契約においてすべての契約書の捺印を代表者が行っているわけではありません。代表者以外の捺印でも、契約締結に必要な権限を持つ者によるものであれば、その契約は有効となります。

代表者以外に有効な契約を締結できると認められる捺印者には、以下の者が該当します。

 

決裁または契約締結権限を持つ者の捺印

会社で取り扱う契約書の数は、膨大になるケースも少なくないでしょう。それらすべての契約書に代表者が捺印することは、物理的に難しいこともあり得ます。そのような事情から、契約書への捺印を代表者以外が行うケースも多いと考えられます。しかし、契約書は必ずしも代表者の手による押印が必要ではなく、そのほかの捺印者が認められるケースもあります。

 

契約締結権限は代表取締役に限らず、ほかの役職に与えられることもあります。役職者のほか、従業員でも企業側から代理権を委任された決済権、または契約締結権限を持っていれば、有効な契約に必要な捺印を行えます。ただし、この場合は会社におけるすべての権限ではなく、委任されている範囲内でのみ有効である限定的な代理権となるでしょう。

 

業務執行権限を持つ役職者

専務取締役や常務取締役、副社長などの場合、業務執行権限を持つことが多いものです。このような役職者は、各自が持つ権限の範囲内に限り契約締結権限も持ちます。

つまり、役職者の業務執行権限内での契約にかかわる契約書であれば、捺印が認められるというわけです。

 

支店長や部長などが捺印者として認められる要件

企業の支店長や部長などの役職に就く従業員は、その肩書のみでは契約締結権限を持ちません。しかし、企業に代わって支店を取り仕切る「表見支配人」に当たることがあります。表見支配人はその支店の拠点内での権限を有し、契約締結においても同様の範囲内に限った権限を持つとみなされるため、有効な契約書への捺印も認められます。

 

なお、部長や係長などの役職者の場合は、企業から委任を受けた場合のみ、その委任内容に沿う事項に限った契約締結権限が与えられます。

 

代表者が変更になった契約書の取り扱いは?

契約締結後、捺印者である代表者が変更となった場合、変更前の代表者名で締結した契約や契約書の取り扱いはどうなるのでしょうか。

代表者が変わると、変更前の契約書上の代表者名も異なります。そのため、契約書が無効になるのではないか、新たに契約を締結して契約書を作成する必要があるのではないか、と考えてしまうこともあるでしょう。

 

企業間での契約は代表者個人ではなく、法人単位での契約です。たとえ代表者が変わったとしても、法人格に変更はないので会社同士での契約にも変更がないと認められるため、契約書は引き続き有効なものとして取り扱われます。

一部の契約書では、代表者変更が発生した際に通知を義務付けている場合もあります。とはいえ、このような通知義務が盛り込まれているか否かにかかわらず、代表者が変更になった際は相手方にその旨を通知するべきでしょう。

 

有効な契約書に必要な捺印者を知っておこう

契約書を有効なものにするためには、契約締結権限を持つ捺印者が必要です。企業によって契約締結権限を持つ役職者や従業員は異なるので、それぞれの契約に適した者が捺印を行うよう、捺印者を把握しておきましょう。

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