ビジネスで発生する様々な書類は、法律に則って正しく保管する必要があります。どの程度保管して管理しておくかは、書類の種類によって異なります。例えば、契約書などは契約が終了するまで、決算に関する書類は永年など年数も様々です。それぞれの書類は、種類や使用頻度に応じた保管と管理を行うべきでしょう。
今回は、書類の保管に関する法律を紹介しつつ、注意すべきポイントを紹介します。
目次
自社書類を正しく保管する方法と法律の基準
ビジネスにおいては、様々な書類を扱う機会が多いものです。種類ごとどのようなことに留意しながら書類保管を行うべきでしょうか。
書類の発生から破棄までの流れ
書類には、発生、活用、保管、検索、保存、破棄というライフサイクルが存在します。発生から検索までの時期は、日常的な活用頻度が高いのが特徴です。一方で、保存以降の時期になると活用頻度は低くなります。ビジネスにおいてほとんどの書類は、時間の経過とともに活用頻度が低くなるのが現実です。
そうなった書類は、別のセキュリティ環境が整った場所に置き、法律で決まっている年数は保存しなくてはいけません。規定の保存期間が終了したら、情報漏洩に最新の注意を払いながら安全に破棄すべきです。書類というものは日々増えていくものなので、ライフサイクルを理解して適切に管理することが重要になります。
書類の「保管」と「保存」の違いとは?
書類のライフサイクルにおいて、「保管」と「保存」という工程は同じように思いがちですが、実はその内容には違いがあります。
「保管」は、発生して活用された後にも、頻繁に参照されたり、利用されたりする可能性が高い書類を必要な場合にすぐに取り出せるよう、事務所内やキャビネットなどに収納することを指します。身近に保管しておくとすぐに活用できるので、業務効率をアップさせることができるでしょう。
「保存」とは、書類が活用される機会がなくなっている状態でありながら、法律で決められている保存期間のあいだ破棄しない状態を指します。活用される機会の少なくなった書類は、事務所の倉庫や文書庫など、すぐに取り出すことができないような場所へ移動する必要があるでしょう。
このように、日常業務において活用、あるいは参照する頻度によって保管から保存へと移り変わっていきます。
法律を遵守して書類の保管や保存を行う
ビジネスで活用する書類の保管は、どのような法律にしたがって、どの程度保管する必要があるのでしょうか。
〇「会社法」と「法人税法」とは?
書類の保存に関して定めている法律は、「会社法」と「法人税法」の2つになります。
会社法とは、会社の設立から解散、資金調達など会社にまつわる様々なルールをまとめた法律です。法人税法とは、法人の所得にかかる税金に関する様々なルールを定めた法律になります。それぞれの法律において、書類の保存期間について定めがあるので注意しましょう。
〇書類の種類別による保存期間
会社法では、書類の保存期間は10年間とされています。法人税法においては、その期間が7年になっています。しかし、過去に欠損金額が生じている場合は、10年間繰り越すことが可能なので保存しておくべきでしょう。
基本的な考え方としては、会社法で定められている書類は10年保存、法人税法で定められている書類は7年保存とし、両方の法律で定められている書類は、保存期間の長い会社法の10年を適用しておくと良いのです。
法律に則って書類保管を行う際のポイントとは
会社法や法人税法で定められたルールを遵守しつつ書類保管を行う際には、どのようなポイントに気を付けたらいいのでしょうか。
文書を保存する期間を設定する
法律で定められている書類に関しては、定められた保存期間を遵守するのが当然です。しかし、法律で定められていない書類は、何を基準として保存すべきか困惑してしまいます。そのような場合に備えて、あらかじめ社内でルールを決めておくことが重要です。ルールを決める際には、リスクマネジメントや経営上の観点により、全社で統一した内容に決めておきましょう。
不要な書類は正しく破棄する
日々増えていく書類は、そのほとんどが長期保存する必要のない書類であるものです。保存期間を終了した後もそのまま保存していると、書類が溜まり続けて保管場所の確保も難しくなるでしょう。保存期間を超過したものに関しては、速やかに処分していくべきです。定期的に保管の見直しを行い、保存期間を過ぎたものは安全な方法で破棄していくことで必要最低限の書類が残ることになり、管理もしやすくなることでしょう。
法律を理解して適切な書類保管を行う
書類の種類に応じて法律で定められた保存期間も異なり、適切に管理していくことも容易ではなく、保管場所の問題も発生します。書類をできるだけ電子化し、電子上で書類の保存期間を設定することができれば管理の手間も軽減されます。企業として法律を遵守しながら、効率的に書類管理を行うことが重要です。