事業の業種によっては、使用印鑑届を使用して取引を進めていく場合もあります。しかし、使用印鑑届について正しい知識を持っていなければ、適切に取引を続けることができなくなってしまい、事業運営を妨げてしまいかねません。
そこで本記事では、使用印鑑届について適切な知識を持てるよう、使用印鑑届の概要について詳しく説明します。
目次
そもそも使用印鑑とは?
使用印鑑届について理解する前に、ますが使用印鑑について知っておく必要があります。
ここからは、使用印鑑がどのようなものであるか、利用できる印鑑について説明します。
一定の取引において使用する印鑑
通常の契約で使用印鑑が使われるケースは多くないため、使用印鑑という言葉自体に馴染みがない人が多いかもしれません。
使用印鑑は、見積りや入札、契約締結や請求などの取引で使用される印鑑のことで、一定の契約において使用される印鑑のことを言います。
そのため、使用印鑑以外のものを使うと、正式な文書として認められなくなってしまうため、注意が必要です。
使用印鑑にふさわしい印鑑は?
使用印鑑は、どのような種類でも利用できるわけではありません。契約の種類や取引相手との取り決めによっても異なりますが、役職名や氏名が記載された印鑑に限って押印が認められているのです。
そのため、会社名だけが記載されているものや、事業主とは違う名称が書かれた印鑑は、使用印鑑として認められなくなっています。会社によっては代理人が印鑑を使用するケースもあるため、届け出る印鑑の種類を間違えないように気をつけましょう。
実印以外の印鑑を使用することも可能
契約で使用する印鑑は実印でなければならないと考えるかもしれませんが、使用印鑑においては、必ずしも実印を使う必要はありません。
ただし、実印以外の印鑑を使用印鑑とする場合も、使用する印鑑が事業主のものであることを証明するために、印鑑証明書を添付しなければなりません。そのため、実印を届け出るのが一般的ですが、実印以外の印鑑を使用する場合は、正式な印鑑であることを証明できるようにしておく必要があります。
使用印鑑届とは?
使用印鑑について理解した上で、使用印鑑届の意味や取り扱い方法について知っておくと、スムーズに契約手続きを進められるようになります。
ここからは、使用印鑑届を正しく取り扱えるように、書類の意味や取り扱い方法について詳しく説明します。
一定の取引において使用する印鑑を申請する書類
使用印鑑届は、見積りや入札、契約締結や請求などの取引で使用する印鑑を届け出るための書類です。
使用印鑑届として実印を使用する会社が多いですが、実印以外の印鑑を使用するケースもあるため、取引においてどの印鑑が使用されるのかを、客観的に証明しておくことで、書類の真正性を高めます。
契約によっては印鑑登録の有無に関わらず提出が必要
契約によっては、印鑑と印鑑証明書があれば、使用印鑑届を提出することなく手続きが完了する場合もあります。
しかし、使用印鑑届が求められるような特別な契約においては、印鑑の有効性を担保するために、印鑑登録の有無に関わらず使用印鑑届の提出が必要なのです。
そのため、契約手続きを行う分野が、使用印鑑届の提出を求められる内容であるかを確認しておき、必要な書類をスムーズに準備できるようにしておきましょう。
申請者の欄には申請者の実印を押す
取引を進めていく上で使用する印鑑は、使用印鑑届で申請した印鑑で良いのですが、使用印鑑届に記載する申請者の欄には、申請者の実印を押す必要があります。
そのため、申請者欄に使用印鑑を押してしまうと、申請者が届け出た文書だと認められなくなってしまうため、注意しておかなければなりません。
代理人が使用印鑑届を提出する場合
会社によっては代表者が書類に押印する場面に立ち会えないケースもあり、代理人が書類作成手続きに出向くところもあります。
そのため、代理人が使用印鑑届を提出する方法を知っておかなければ、契約手続きをスムーズに進めることができなくなり、事業運営に支障をきたしてしまう危険性があるのです。
代理人が使用印鑑届を提出する場合、委任状を貼付しなければなりません。委任状には代表者の実印を押印した上で、受任者の印鑑と印鑑証明書をそろえ、使用印鑑を押印して提出しましょう。
使用印鑑届の記載事項に変更が生じた場合、すみやかに変更事項を届け出るのが原則ですが、契約によっては、契約期間中の変更届提出が不要になっているケースもあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
使用印鑑届についてよく理解して契約しよう
本記事では、使用印鑑がどのようなものであるか、使用印鑑届を適切に運用するために必要な情報について説明しました。
ここで説明した内容を参考にして、使用印鑑届を適切に取り扱い、スムーズな事業運営ができるようになってくださいね。