取引先や上司から突然、秘密保持契約の話題が出て、慌てた経験はないでしょうか。英語で「Non-disclosure agreement」と表現されることから、略称で「NDA」とも呼ばれる秘密保持契約は、企業買収や商品開発など様々なビジネスの場面で必要とされるものです。
しかし、経験がなければ締結にあたってまず何から始めれば良いかわからないでしょう。そこで、この記事では秘密保持契約の締結目的や書き方を解説します。
目次
NDAと呼ばれる秘密保持契約とは
秘密保持契約(NDA)を理解するには、まずその目的を理解する必要があります。また、同じような意味をさす表現もいくつかあるので、ここで覚えておきましょう。
秘密保持契約(NDA)の目的
秘密保持契約は、その名の通り秘密情報が漏洩することを防ぐために締結するものです。締結場面は多岐にわたっており、特許申請や不正競争防止などといった場面でも見られます。
■機密保持契約やCDA・CAなども同意義
秘密保持契約と並んで言われることが多いのが機密保持契約です。また、秘密保持契約を「Non-disclosure agreement」ではなく、「Confidential Disclosure Agreement」や「Confidential Agreement」ととらえ、「CDA」または「CA」と表現されることもあります。
いずれも基本的な内容は同じですので、ビジネスの現場でどの用語が飛び出しても慌てないようにしましょう。
M&A手続きの際にも必要不可欠
近年、特に秘密保持契約の存在意義が高まっている場面が、「M&A(Mergers and Acquisitions:合併・買収)」です。M&Aを進めていくにあたり、買い手は売り手の機密事項を知ることがあります。
また、M&Aを仲介する業者や専門家、金融機関などの第三者も機密情報に触れることがあるでしょう。万が一にもこの情報が漏洩してしまうと、売り手企業の経営にも重大な影響を及ぼすことがあります。そこで、関係者に秘密保持の徹底を求めるために秘密保持契約が必要となるのです。
秘密保持契約(NDA)の書き方
秘密保持契約は双方が納得するものを作り上げなくてはいけません。契約の内容としては、対象となる情報や期間、義務の対象者、損害賠償について盛り込むのが良いでしょう。
さらに、契約にあたってはいくつかのマナーが存在します。
秘密保持契約(NDA)のルールやマナー
当然、契約書のルールが秘密保持契約にも適用されます。そのため、契約書が複数にわたる場合はそれぞれに割印を押すか、袋とじした後に契印を押すのがルールです。
また、当事者がその場で締結できない場合は、一方が他方に郵送で秘密保持契約書を送ることになります。重要書類なので、送るときは簡易書留など後で記録をたどれるものにすることが重要です。
また、相手が返送しやすいように返信用封筒をつけておくのもマナーです。
経済産業省のフォーマットが役立つ
今まで会社で秘密保持契約を結んでいなければ、どのような書き方で作れば良いかわかりにくいでしょう。その時に参考になるのが、経済産業省の例です。
経済産業省のホームページでは、営業秘密の概要や業務提携の検討時、従業員の入社時の秘密保持契約の見本が掲載されています。契約書作成にあたって参考にしてみてはいかがでしょうか。
参照:経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference2.pdf
秘密保持契約のポイント
他にも、秘密保持契約を締結するにあたって覚えておきたいポイントがあります。これを把握しておくだけでも、契約がスムーズに進みますので、覚えておきましょう。
収入印紙は不要
契約書で気になるのが、収入印紙の貼付が必要か否かという点です。課税対象となる文書の規定がある印紙税法では、秘密保持契約についての記載はないので、印紙貼り付けは必要ありません。
英語でのNDAのポイント
ビジネスの現場でも、グローバル化が急速に進んでいます。そして、M&Aで海外企業と接点を持つこともあるので、英文秘密保持契約についても理解が必要です。
その際、対象をしっかり特定していないと、範囲が不明確になり後々のトラブルの元にもなりかねません。あいまいな表現も避け、明確な文書を心がけましょう。
秘密保持契約(NDA)の手間やコストを削減する
秘密保持契約は情報漏洩を防ぐために必要で、特にM&Aの場面でも多く使用されます。大変重要な作業ですが、双方が同時に集い、契約を締結するのが難しい場合もあるでしょう。
そこで、郵送で契約のやり取りをすることもあります。しかし、郵送となると、費用や手間もかかりますし、大切な契約書が一方の手違いで紛失しないか不安になることもあるはずです。
そんなとき役立つのが、電子契約という方法です。この方法であれば、スムーズに進めることが可能ですし、セキュリティ面も近年向上しています。迅速かつ安全な契約を目指すなら、一度電子契約を検討してみてはいかがでしょうか。