契約における債権と債務の意味とは?運用ポイントを解説

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契約における債権と債務の意味とは?運用ポイントを解説

日常的に結んでいるさまざまな契約には、債権と債務が存在しています。その両者を正しく理解せずに契約を結んでいると、思わぬトラブルになる可能性もあります。実生活において、どのような時に、どのようなことが債権や債務にあたるのでしょうか。債権と債務の意味と運用していく上で注意すべきポイントを紹介します。

 

契約における債権と債務の定義を解説

ビジネスや日常生活において、人はさまざまな契約を結んでいます。契約には債権と債務があるので、その意味を解説します。

 

契約で債権が発生する原因とは?

債権とは、人が別の人に一定の行為を請求する権利に相当し、債権が発生する原因は4つあります。

 

1.契約:2つ以上のものが合意の上で成立

2.不法行為:故意や過失により、他人の権利などを侵害することで、損害を与えた場合

3.不当利得:法律上の原因がなく、他人の財産や労務の利益を受けて、他人に損害を与えた場合

4.事務管理:法律上の義務もなく、他人の事務を管理する場合

 

契約は、法的な効果を発生させることを約束したものです。つまり、約束を破った場合には、裁判所に訴え、契約を履行させたり、損害賠償の支払いを求めたりすることになる可能性があるものだという認識をしておくことが重要です。

 

債権に値する要件を理解する

債権を発生させるためには、給付の具体的な内容と給付する期限が明確でなければいけません。給付とは、請求する行為の内容を表したものです。どのような内容でも良いわけではなく、債権には「適法性」「可能性」「確定性」の3つが揃うことで法的にも債権と認められます。

 

1.適法性:法律や公序良俗に反していないこと

2.可能性:将来的な場合を含め、責務者が実現可能であること

3.確定性:契約する双方に債権が存在する場合は、債権の内容が履行がされる前に確定していれば、契約成立時に確定していなくても良いこと

 

債権に値するすべての要件が満たされていることで、それは法律的に債権として認められることになります。

 

債権と債務の関係性とは?

要件が揃った場合には債権が発生しますが、それと同時に、債務も発生することになります。債務は、一定の行為を請求する権利である債権と対義語になっており、一定の行為を請求されることであり、それを行う人が債務者と呼ばれます。したがって、債権と債務は表裏一体の関係性となります。

 

契約の債権の運用における注意すべき点

債権を行うにあたり注意すべきポイントを紹介します。

 

債権の回収に利用される債権譲渡とは?

債権譲渡とは、債権の内容は変更せずに、債権を移動することにあたります。どのような場合にされるかと言うと、債権の買収や債権回収の方法として利用されることが多いです。

 

債権の時効に注意する

債権には時効がありますので、時が経てば債権が消滅してしまうことを覚えておきましょう。2020年4月1日に行われる民法(債権法)改正では、消滅時効に関するルールが変わります。

従来の場合、個人間の債権は10年、どちらかが商法上の証人である場合は、商事債権は5年というルールでした。その他にも、1年から5年の間で細かく設定される短期消滅時効も存在していました。改正される民法では以下のような内容に定められています。

 

1.債権者が権利を行使することができることを知った時より5年間行使しない場合

2.権利を行使することができる時より10年間行使しない場合

3.商法第522条を削除(商法第522条は商事債権のこと)

 

このように、民法改正では消滅時効期間について、より合理的で分かりやすいものとするために、職業別の短期消滅時効の特例を廃止するとともに、消滅時効期間を原則として5年とするなどしています。基本は5年とされ最長で10年と定められています。

したがって、2020年4月1日以前に生じた債権は現行の民法が適用されるので、新旧が混在した複雑な状態がしばらく続くことが予想されます。

 

英語の契約における債権と債務の表現を紹介

最近では、ビジネスで「債権」「債務」の言葉も頻繁に使用される機会が増えてきました。今やビジネスはグローバル化され、企業としても債権・債務のような言葉も英語で知っておくと非常に便利です。一般的な英語としては、債権は「credit」債権者は「creditor」、債務は「debt」債務者は「debtor」になります。

また、その状況によって、ふさわしい英語が変わる場合もあり、債権を「claim」、債務を「liability」と表現することもあるので注意が必要です。

 

民法改正で債権者の保証人の極度額を決めておく

保証契約に関するルールについて、個人が保証人になる場合の保証人の保護を進めるため、保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ、契約が無効になることが定められています。

従来の場合は、「連帯保証人は一切の責任を負う」というのが基本でしたが、民法改正では、例えば「1,000万円までを上限に」などという具体的な金額の設定が必要になります。したがって、場合によっては、その限度額が高いと感じた場合は、保証人を拒否されることも出てくるでしょう。

 

契約における債権と債務を正しく理解しておこう

日常的に交わされている契約には、債権と債務の両方が存在しています。契約は、法的に効果を生じさせるものである重要な約束事であることを忘れてはいけません。トラブルにならないようにするためにも、債権と債務を正しく理解をし、運用していくようにしましょう。

 

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