B/L約款とは、国際貿易についての取り決めが記載されている約款です。
しかし、種類や内容は国によって違うため、かなりわかりづらいのが現状です。
そこで今回は、B/L約款について解説いたします。
B/L約款とは?
国際的なビジネスにおいても、国内で行われるビジネスと同じように契約を締結する際には契約書を使用します。特に貿易では、輸出者が作成した契約書を輸出契約書と呼び、輸入者が作成した契約書を輸入契約書と呼びます。
これらの輸出入に関する契約書は、輸出入者間でやり取りされます。
一般的なスポットの売買取引の場合や契約書を取引ごとに締結する場合に、一枚のレターサイズの用紙にて収められます。このレターサイズの契約書は、用紙の裏と表にそれぞれ条項を記載して作成されます。その条項をB/L約款と呼びます。
裏面約款とは
裏面約款とは、輸出入契約書の裏面に記載される条項です。
主に、責任の所在や手続きに関する注意点についてなど、全ての売買契約に共通して規定される一般的な条項が記載されます。
表面約款とは
表面約款とは、輸出入契約書の表面に記載される条項です。
それぞれの取引に関する主要な個別条項を規定して記載されます。主な条項としては、商品の品名や品質、数量、単価、価格などが記載されます。
B/L約款に関する法律・条約ついて
B/L約款を扱う上で、貿易の輸出入に関する条約や法律について知っておく必要があります。代表的なものは以下の通りです。
国際海上物品運送法
ヘーグ・ヴィスビー・ルールを基盤とした国内法として1957年より日本で施行された法律です。
運送会社の責任を法律として定めて確立しつつ、船員の航海上の過失や船舶における火災に起因する貨物へのダメージについては運送会社の責任を免除することで、運送会社と荷主の利益の調整が図られています。
ヘーグ・ヴィスビー・ルール
貿易に関する国際条約で、運送会社の責任について定めた条約です。
1924年8月24日に署名されたヘーグ・ルールを原条約とし、コンテナ貨物への対応や責任限度額の変更などの修正が加えられたものが、ヘーグ・ヴィスビー・ルールとして日本を含む先進国で批准されています。
ハンブルグ・ルール
貿易に関する国際条約で、ヘーグ・ヴィスビー・ルールが荷主となる国の立場を軽視しているとして、1978年に開発途上国が中心となり荷主国の権利の保護・強化に重点をおいて作成された条約です。
運送会社の責任に関して、ヘーグ・ヴィスビー・ルールよりも責任期間が拡大されています。そのほか、各種の免責が廃止され、過失に関する挙証責任が運送会社に責任が課されるようになるなど、運送会社責任が大幅に強化されているのが特徴です。そのため、日本を含む主要な貿易国家は本条約を批准しておらず、ほとんど適用されません。
B/L約款には何が書いてある?
B/L約款には、用語の定義や荷主と運送会社の責任範囲について記載されています。
基本的に、B/L約款の条項が適用されるのは、何らかの不測の事態が発生した場合です。
具体的な例としては破損や荷崩れ、水濡れなど、貨物へのダメージがあった場合などはB/L約款の条項が適用されます。
この場合、荷主は運送会社に対して損害賠償を請求することが可能です。しかし、B/L約款には荷主に対しても立証の責任が記載されている条項が記載されています。そのため、どう損害賠償を処理するかが論点となるのです。
上記のようなダメージが貨物に見つかった場合、荷主は運送会社に対して、予備クレームを貨物引き渡しの後3日以内に行わなければならないことがB/L約款に記載されています。その後、本クレームを行う必要があります。日本では貨物引き渡し後1年以内に本クレームを行い請求しなければなりません。
クレーム処理は国や運送会社によってそれぞれ異なるため、運送契約を締結する際はB/L約款の内容をしっかりと把握して、適切に行う必要があります。また、運送会社側がダメージへの過失を認めた場合、荷主が損害賠償を請求できる金額についても、B/L約款に記載されています。ヘーグ・ヴィスビー・ルールでは、1梱包または1単位あたり666.67SDR、もしくは総重量1kgにつき2SDRのどちらかで、金額の高い方が請求できます。そのため、日本やヘーグ・ヴィスビー・ルールに批准している国のB/Lの約款には上記の基準が記載されています。
SDRとは国際通貨基金(IMF)が定めた特別引出権のことであり、全世界共通の通貨単位を表しています。2020年1月時点では日本円で1SDR/152.4096円です。
まとめ
B/L約款は国際貿易が行われる際に契約書に記載される約款です。
その内容は批准している条約によって、国ごとに異なります。
輸出入に関して契約書を作成する際には、国際的なルールや条約についてよく理解し、責任範囲についてしっかりと記載する必要があります。