保証人という言葉を聞く機会があっても、実際に保証契約がどういったものなのかわからないかもしれません。
しかし、保証契約は大きな責任を伴うため、しっかりと理解した上で締結する必要があります。
そこで、この記事ではそもそも保証契約とはどういうものなのか、そして連帯保証人になる際の注意点を解説します。
保証契約を交わす予定がある方はもちろん、特にない方も今後そのような場面があるかもしれないので、ぜひ参考にしてください。
目次
保証契約とは
まず、 保証契約とは借金の返済や代金の支払などの債務を負う「主債務者」がその債務の支払をしない場合に、主債務者に代わって支払をする義務を負うことを約束するというものです。
なお、「保証契約」という用語は、もともと債権者と保証人との間の契約を意味します。
債務者(借り手)と保証人間での契約と誤解する人もときどきいるので、注意しておきましょう。
ちなみに、債務者と保証人間での契約は保証委託契約と呼ばれます。
保証契約はいくつかの分類ができるので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
保証契約の種類
ここでは、特定保証、根保証、その他の保証に分けて紹介します。連帯保証については、注意点などもあるため、2の項目で詳しくみていきましょう。
特定債務保証とも呼ばれる特定保証は、貸付1回に対しての保証です。そのため、当初契約時の保証金額を超える保証の必要はありません。
一方、根保証は定められた限度額の範囲内で保証する必要があるものを指します。
契約時に借入金額が発生していなくても、その後限度額の範囲内で債務者が借入した場合、それに対して責任を負わなくてはいけません。
その他にも、身元保証や建物賃貸借契約等の保証、手形保証といった種類があります。身元保証や賃貸借契約保証についても、根保証の一種であると考える場合もあります。
保証契約のリスク
債務者(借り手)が返済できない場合、保証人は返済できない額に遅延損害金を加えた額の中から、保証の範囲内の金額を支払う必要があります。
この義務を履行できない場合、財産を差し押えられるリスクまであるのです。
しかし、保証人には2つの重要な権利が民法第452条並びに第453条で定められています。それが催告の抗弁と検索の抗弁です。
簡単にいうと、催告の抗弁とは債務者が返済していないときでも、「まずは債務者に返済を求めてください」と債権者に請求することができるものです。
また、催告の抗弁をした後に、まだ債務者が返済しようとしない場合であっても、債務者に資力があることを証明できれば、検索の抗弁により債務者の財産執行が優先されます。
連帯保証の注意点
このように、保証契約には大きな責任が伴うことがわかります。しかし、それ以上に大きな責任を伴うのが連帯保証です。
連帯保証人とは
読んで字のごとく、連帯保証人とは本来の債務者と連帯して債務を負担することを言います。
つまり、債務者と区別されることなく債務を履行しなくてはいけないのです。
よく、「保証人」と呼ばれますが、銀行取引や不動産取引など、実際は「連帯保証人」であることもよくあります。どういう保証人なのか確認しておきましょう。
連帯保証人は行使できない権利がある
連帯保証人の責任の重さを端的に表しているのが、民法454条に定められている催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められていない点です。
さらに、複数の保証人がいる場合、それぞれの負担部分のみ責任を負うという分別の利益も有していません。
2020年4月からの民法改正ポイント
ここまで保証契約の概要を解説してきましたが、2020年4月から保証の扱いが大きく変わりました。
保証人となる立場の人はもちろんですが、保証人を求める債権者側にとっても重要な改正なので、しっかり理解しておきましょう。
根保証の極度額に新たな規定
もともと、貸金業では書面で極度額を定めることが必要でしたが、今回の改正で個人根保証全般で極度額の定めが必要になりました。
つまり、アパートの賃貸契約の場合も極度額を定めていなければなりません。不備であれば保証条項は無効になるので、アパート経営者は注意が必要です。
個人が事業用融資の保証人になる場合の規定
融資を受ける際、事業に関係ない第三者に保証人になってもらう場合があります。
しかし、民法改正以降は、安易に無関係な人が保証人になることを防ぐため、公証人による保証意思確認手続を経なくてはならなくなりました。
保証人に対する情報提供義務の規定
さらに、事業に関して保証を頼む際、債務者側は保証人に対して情報を提供しなくてはいけなくなりました。
具体的には財務状況、その他の債務の有無や履行状況などの情報提供が必要です。
保証契約でも電子化の波が来ている
以上、保証契約の概要や連帯保証人になることの注意点を解説しました。このように保証を取り巻く制度は複雑なため、契約までに一定の時間を要します。
契約事務をスピーディーにする手段として注目を集めているのが、システムの電子化です。保証契約においても、電子化された手続きが可能であり、民法改正以降も対応しています。
電子契約はコストや時間短縮のメリットがあるため、保証契約以外もぜひ契約全般での導入を検討してみてください。