官公庁などの公的団体から入札を通して仕事を請け負う企業にとって、「随意契約」は日々の業務の1つでしょう。
一方、公共団体とは関わりのない業界であれば、「随意契約」という言葉すら聞いたことがないという人も少なくありません。
随意契約は、3種類ある契約方式の1つですが、具体的にはどのような入札方法なのでしょうか。今回は、随意契約の概要からメリットとデメリットまで詳しく解説します。
目次
随意契約のメリットとデメリット
ここでは、随意契約とはどのような入札方式なのかを詳しく解説しましょう。
そもそも随意契約とは
随意契約とは、競争によることなく官公庁などの公的団体と直接に契約することです。競争を原則とする入札のなかでは、例外的な方式といえるでしょう。
次のような場合に、この方式の採用が認められています。
・入札の内容が競争することにそぐわない場合
・業務が緊急に必要であると判断される場合
・障害者関係施設、認定生活困窮者就労訓練事業を行う施設、母子福祉団体などで生産される商品を購入する場合や役務の提供を受ける場合
・ベンチャー企業より新商品の購入や借入または新しい役務の提供を受ける場合
・相場と比べ非常に有利な価格で契約を結べる場合
・予定価格が少額の場合、その他政令で定める場合など
ただし、なるべく2社以上の企業から見積もりを取ることとされています。また、それまでに受注実績のある企業が選ばれる可能性が高いようです。この随意契約は、次の3つに分類されます。
特命契約とは
発注者である公的団体の都合により、決まった企業を指名して契約を結ぶ方式です。「随意契約」というと、ほとんどの場合この方式を指します。
少額契約とは
契約の予定価格が低い場合に、複数の企業から見積もりを取り発注先を選ぶ方式です。この方式が採用される場合であっても、法令によれば、可能な限り本来の入札方法で発注先を決めることと定められています。
不落契約とは
入札を希望する企業がいなかったり落札しなかったりする場合に、最も良い条件を提示した企業と契約を交わす方式です。予定価格を変えることはできませんが、ほかの条件を変更することは可能です。
随意契約のメリットとデメリットとは
随意契約の一番のメリットは、確実に契約を締結できるという点です。デメリットとしては、そもそも対象企業として選ばれること自体が難しいという点が挙げられます。
対象企業には、それまでに受注した実績のある企業が選ばれる傾向にあるので、まずは通常の入札に参加し実績を積む必要があります。
随意契約は3種類ある契約方式の1つ
入札には種類がいくつもあるので、よく知らない人にとっては非常に複雑に感じることでしょう。ここでは、随意契約以外の入札についても解説します。
一般競争契約とは
一般競争契約は3つに分類されます。1つずつ説明していきましょう。
「一般競争入札」は、多くの企業が参加して最も良い条件を出した企業が受注できる方式です。先述したように、入札の方法はいくつもありますが、そのなかでもこの入札方法が最も公平だといえるでしょう。なぜなら、提示した内容によって受注先が決まるので、大手企業でなくとも仕事を請け負える可能性があるためです。
「見積り」方式では、価格の低い物品などを発注する時に見積り条件を公示し、その公示内容に対して最も良い条件を出した企業が受注します。入札に関する説明会などが開催されないため、短期間で入札を行える点がメリットです。
価格が低いので利益が薄くなってしまいがちですが、一般競争入札よりも速やかに入札が行われるため、数多く受注することにより利益を上げることができるでしょう。
「公募」は、入札を希望する企業のなかから、条件に合う企業を選んで入札を行う方式です。公的機関から指名通知書を受けた企業のみ参加できます。
指名競争契約とは
指名競争契約は2つに分類されます。
「指名競争入札」とは、決まった企業を事前に指名し、そのなかから最も良い条件を出した企業が受注できる方式です。発注する公的機関は、それぞれ独自の基準によって企業を選択します。
「希望制指名競争入札」とは、仕事を受注したい企業のなかから参加企業を指定して入札を行う方式です。希望する企業は技術力を証明するために様々な書類を提出する必要があります。
随意契約を電子化するとメリットが増える
入札には随意契約を始め様々な方式があります。政府は、「物品・役務」や「一部の公共事業」に関連する手続きを、電子調達システムによって行っています。
入札から契約、発注、請求などの手続きをインターネット上で行えるため、様々な業務の効率化が図れるなどメリットが大きいといえます。
政府によると、このシステムを利用できる機関を今後順次拡大していくとのことです。
この機会に、電子契約システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。