下請法によって、さまざまな文書において電子化義務とされるようになり、さらなるペーパーレス化が推進されるようになっています。
しかし、既存の方法で契約手続きを進めている事業者も多く、なかなか電子化できず困っている人も多いのが現状です。
そこで本記事では、下請法の概要や電子化義務にするメリットや注意点について、詳しく説明します。
目次
下請法とは?
親事業者から仕事を請け負う下請の事業者は、立場上不利になってしまいがちです。
そのような状況を回避して、下請事業者の利益を保護すると同時に、下請取引を公正化する目的で定められたのが、下請代金支払遅延防止法で、省略して下請法と呼ばれています。
親事業者は下請事業者に書面交付義務がある
下請法の第3条では、下請取引を行う場合には、親事業者が下請事業者に対して書面を交付する義務が課されています。
どのような取引が下請取引になるかということは、事業の業態やそれぞれの資本金額によって変わってくるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
また、書面に記載すべき内容も定められており、親事業者と請負業者の名称はもちろん、取引金額や下請代金の支払方法・支払期日、納品する商品の品名や数量など、具体的に定められているため、もれなく記載する必要があります。
請負契約の文書を電子化するメリット
書面の交付が求められている請負契約ですが、下請法の第3条では書面の交付に代わって電磁的記録によって契約内容を交付できることが定められているのです。
請負契約の文書を電子化することには、以下の3つのメリットがあります。
- スムーズに契約業務が進められる
- 文書の保管スペースが削減できる
- 印紙税が不要になる
これらのメリットを理解しておけば、請負契約にかかる負担を減らすことができ、効率的な事業運営ができるようになりますよ。
ここからは、請負契約の文書を電子化するメリットについて、詳しく説明します。
スムーズに契約業務が進められる
請負契約を電子化すると、契約業務がスムーズに進められるようになります。
書面での手続きになると、文書の印刷や郵送、書類の決裁や押印の手間がかかってしまい、約束の締結や業務の開始まで時間がかかってしまうのです。
これらの手続きを電子化すれば、タイムリーに手続きを進められるようになり、より効率的に仕事を進めることが可能になります。
文書の保管スペースが削減できる
書面で契約業務を進めていると、契約数が多い事業になるほど保管スペースを圧迫してしまいます。
また、過去の文書を取り出すために、保管スペースに足を運んだり文書を探したりするのに時間がかかってしまい、本来の業務に割ける時間が少なくなってしまうのです。
これらの業務を電子化すれば、保管スペースに困ることなく、場所を選ばず契約内容を確認できるようになります。
印紙税が不要になる
書面契約に義務付けられている印紙税ですが、電子化された文書においては印紙税が不要とされています。
そのため、文書を電子化することで印紙税を節約することにつながり、コストを削減して会社の利益を高めることができるのです。
下請法で電子化義務にする際の注意点
文書を電子化する際、注意点を理解しておかなければ、かえってトラブルが増えてしまいかねません。
ここからは、下請法で電子化義務にする際の注意点について、詳しく説明します。
下請事業者に同意を得る
契約手続きを電子化すると、双方がシステムを導入しなければならない場合があります。
そのため、一方が電子化しても、相手が利用できないケースがあるため、事前に下請事業者に同意を得ることが大切です。
下請業者に電子化の費用負担をさせない
下請法は、下請業者の利益を守ることを目的としているため、手続きを電子化することで発生したコストを下請業者に負担させることは、下請業者の利益を守ることにならなくなってしまいます。
そのため、公正取引委員会では、下請取引において電子化にかかるコストを下請業者に負担させてはならないとしているのです。
システムを導入する場合には一定のコストがかかりますが、予算の負担方法について知っておくことが、トラブルを避けて電子化するためのポイントとなります。
電子化できなかった場合の対応方法を知っておく
下請業者に手続きの電子化を申し出たとしても、それが受け入れられない場合もあります。
その場合、従来通り書面での手続きが必要になりますが、それによって下請業者に不利益を生じさせることは、公正取引委員会が禁止しているので、注意が必要です。
下請法を理解して電子化しよう
本記事では、下請法の概要や電子化義務にするメリットや注意点について説明しました。
請負契約を結ぶ場合、下請業者が法律でどのように保護されているのかということや、電子化する場合の注意点を知っておかなければ、スムーズに取引を進めることができなくなってしまいます。
ここで説明した内容を参考にして、あなたの事業に合わせて電子化を進められるようになり、より効率的な事業運営を目指してくださいね。