特定認証業務が選ばれる理由|電子契約に必須の認証業務をどう選ぶか

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特定認証業務が選ばれる理由|電子契約に必須の認証業務をどう選ぶか

電子契約には特定認証業務が欠かせませんが、特定認証業務には認定認証業務とよばれるものもあり、それぞれどのような特徴があるのかを知らなければ選ぶことはできません。

この記事では、特定認証業務が電子契約に必要な理由と、特定認証業務と認定認証業務の違いを詳しく解説します。

 

電子契約にはなぜ認証業務が必要か

電子契約に欠かせない電子署名はその本人性を認められていますが、それでも認証業務が必要なのはなぜなのでしょうか。電子契約における認証事業者の役割・機能からその必要性を解説します。

 

認証業務は電子署名を証明する

認証業務は、間違いなく利用者が行った電子署名であることを確認するために用いられる事項(公開鍵暗号方式に基づく電子署名の場合は電子証明書に記録される公開鍵などのことを指す)が、利用者に関わるものであることを証明する業務です。

 

この方式でいう本人確認とはあくまで秘密鍵の保有者が送信してきたことを確認しているだけで、電子文書の名義人以外の何者かが成り済ましている可能性もあります。そこで公開鍵を登録した者が本当は誰なのかを認証する第三者、つまり認証業者が必要になってきます。認証業務は、利用者が本人であることを証明した上で、公開鍵とその対となる秘密鍵が誰のものなのか、ひいては電子署名の本人性を証明してくれるサービスなのです。

 

認証業務の機能

認証業務には、電子証明書を発行する、電子証明書の有効性を証明するという2つの機能があります。

 

〇電子証明書を発行する

認証業者は利用者から依頼を受け、公的機関の証明書を現実に確認して利用者の本人確認を行い、公開鍵を登録、つまり電子証明書を発行します。こうすることで秘密鍵保有者が他人の名義を騙り成り済まして登録することを防ぎ、また本人が秘密鍵を紛失するなど他人に使われる恐れがあるとき迅速に認証機関に届けることで損害を未然に防ぐことができます。

 

〇電子証明書の有効性を証明

認証業務には電子証明書とその有効性の管理業務を含みます。紛失などによって失効する場合の登録や、他社から求められた場合の本人性を証明します。

 

特定認証業務と認定認証業務

電子証明書の登録・管理をする認証業務には、認定認証業務と特定認証業務があります。どちらも認証業務には変わりありませんが、社会における信頼性の度合いには違いがあります。その違いを印章に例えて解説しましょう。

 

主務大臣の認定を受けている認定認証業務

特定認証業務を行うには一定の信頼性・安全性を備えていることが求められます。その信頼性・安全性の基準として、主務大臣が定める次の技術的基準を満たしている場合、認定認証業務の認定を受けることができます。

 

・使用する設備が主務省令で定める基準に適合している

・利用者の真偽の確認が主務省令で定める方法で行われる

・認証業務が主務省令で定める基準に適合する方法で行われる

 

〇紙文書の実印相当の信頼性

特定認証業務の中でも一定の基準を満たしていると、主務大臣が信頼性・安全性を認めるのが認定認証業務です。例えば印章でいうと、市役所などの公的機関が間違いなく本人のものであると証明する「実印」と同じ程度の信頼性を備えているといえます。

主務大臣が認めた特定認証業者が証明するなら、電子署名の本人性も間違いないと契約関係者も認めることができるでしょう。認定認証業務は、電子証明書の本人性を証明する認証業者を、その信頼性が技術的基準を満たすと認定することで電子証明書の信頼性を高めているのです。

 

〇認定認証業者が多くない理由

認定認証業務と特定認証業務の両方が存在するのはなぜなのでしょうか。それには大きく次の3つの理由が関係しています。

 

・認定にかかる審査・維持コストが年間400万〜500万円と高額である

・認定制度の認知度が低く、かかるコストの割に得られるメリットが低い

・認定認証業務で認定されていなくても真正の推定効果が認められる

 

つまり、認定認証業務には「事業としてコストに見合ったメリットがない、または少ない」ため、認定認証業務だけでなく特定認証業務も存在するといえるでしょう。もし認定認証業者だけになれば利用者への負担やコストも大きくなるので、電子証明書を求める利用者は限られ、普及を阻害してしまう可能性も懸念されます。

 

特定認証業務の信頼性はやや低い

特定認証業務は、認定認証業務のような後ろ盾はなくても、主務大臣が定めた技術的安全性を備えています。ただ、認定がない分、残念ながらその信頼性や安全性は認定認証業務に比べやや低くとらえられています。

従って印章でいえば実印ほど信頼性は高くはない、例えば一定の利用において不可欠で信頼性は認められるが後ろ盾のない「銀行印」に近いといえるでしょう。

 

必要な信用が得られる特定認証業務を選ぼう

特定認証業務は、電子契約を支える電子証明書の信頼性を支える重要な業務です。そのうち主務大臣が定める基準を満たしていると認定されたものを認定認証業務といい、より信頼性が高いとされています。

ただ、認定認証業務はコストの負担が大きいなどのデメリットもあり、特定認証業務の利用が一般的です。とはいえ、どちらも認証業務には違いありません。必要な信用が得られるかどうかを基準に適切に選ぶようにしましょう。

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