契約をするときに、「相手がきちんと契約を守ってくれるのか」「もしも契約を守ってくれなかったらどうなるのか」などが気になります。もしも契約を守ってくれなかった場合はどうなるのか、こちらからは何をすればいいのかを確認しましょう。
目次
債務不履行とはどんなこと?契約は解除可能?
まずは「債務不履行」とはどのような状態なのか、またその状態であれば契約解除ができるのかについて確認します。
契約で決められた義務を果たさないこと
契約をすると、その当事者双方ともに「契約で決められた義務」と「契約をしたことによる権利」ができます。「契約で決められた義務」のことを債務といい、「契約をしたことによる権利」のことを債権といいます。「債務不履行」とは債務を履行しないこと、つまりは契約で決められた義務を守らないということです。
債権者は契約の取り消しや損害賠償も可能
契約を交わすと、契約を守る法的な義務が生じます。そのため、相手が債務不履行となってしまったときには、「契約の取り消し」や「損害賠償」などを要求することができます。
ただし、債務が行えなくても「第三者が見ても仕方がないと思える理由」があるときには債務不履行にはなりません。「地震のせいで工場が壊れてしまって商品を納入できなかった」というような理由なら債務不履行にはあたらないでしょう。
債務不履行には3つの種類があります。義務を果たす時期が遅れてしまうことを「履行遅滞」、債務を行えなくなることを「履行不能」、債務のうち一部だけしか行っていないことを「不完全履行」といい、それぞれで債権者が請求できることは変わることがあります。
話し合いで解決不能なら民事訴訟や強制執行
債務不履行には3つの種類がありますが、どの場合であっても基本的には話し合いから始めましょう。時期が遅れてしまいそうなのであれば「早く納入するようにしてください」、頼んだ仕事のうち一部だけしかできていないのであれば「この部分も対応してください」などと伝えます。
聞いてもらえなかったり遅れたことでこちらに不利な状況になることもあります。そんなときには契約の取り消しや損害賠償などの対応を求めます。それでも対応してもらえないのであれば「民事訴訟」を起こしたり、相手に強制的に約束を守らせることのできる「強制執行」という手段もあります。
債務不履行には時効がある
契約の相手先が債務不履行となった場合には、損害賠償請求などができると説明しました。では、請求ができる期間には限りはあるのかについても、確認しましょう。
一般の債権の場合10年
債務不履行の損害について請求ができる権利には、時効があります。時効を迎えてしまう前に、早めに損害賠償請求などの対応をしましょう。営利目的ではない個人からお金を借りた場合には、「一般の債権」にあたり、時効は10年間になります。
商事債権の場合には5年
「商事債権」とは営利目的だったり、企業としての契約だった場合の債権です。企業としてお金を借りた場合には、こちらに該当します。商事債権の場合、時効は5年です。
時効のカウントが始まるのは、通常「片方の債務を果たしたとき」からです。「品物を渡してお金を貰う」という契約であれば「品物を渡した時点」からカウントし始めます。
土地の売買契約の債務不履行の場合は?
土地の売買契約を例として、債務不履行に当たる場合と当たらない場合を見ていきましょう。
売主の債務不履行は、「引き渡し日が過ぎたのに土地を引き渡さない」、もしくは「土地の所有権移転登記をしてくれない」というものが考えられます。「支払ってもらったけどやっぱりこの土地から出て行かない!」という場合は、債務不履行ですね。
これが、「火災により売るはずの家が消失してしまった」という時はどうなるのでしょうか。この場合「売主に非のある火災」であれば債務不履行になります。「売主に非がない」、例えば近隣からのもらい火で火災になったのであれば、売主は履行不能の責任を負いません。
債務不履行になってもやれることはあります!
契約とは、「守るべきもの」です。当然契約を守ってくれるものだろうと思っていると、相手が債務不履行になってしまったときに慌ててしまいますよね。
しかし、債務不履行になってしまっても、強制執行や損害賠償請求など、やれることはあります。契約書を作る時点でも、もしものことを考えてペナルティを盛り込んでおくとよいでしょう。